「うちの犬、トイレにまでついてくるんだけど……これって普通?」
愛犬がいつもそばにいてくれるのは嬉しいものの、ちょっと目を離すと不安そうにしたり、外出の準備をするだけで落ち着きがなくなったりすると、飼い主としては心配になりますよね。
実は、犬が飼い主から離れない理由には「甘え」「依存」「分離不安症」という3つの異なる状態があり、それぞれ対処法も違います。
この記事では、犬が離れない理由と行動サインを詳しくお話ししていきます。さらに、今日からできる改善方法やNG対応についても取り上げていくので、愛犬との健全な関係づくりに役立ててみてください!
犬が離れない理由とは?「甘え」と「依存」の違いをまず理解しよう
犬が飼い主のそばを離れたがらないのは、決して珍しいことではありません。
しかし、その行動が「健全な甘え」なのか「問題のある依存」なのかを見極めることが大切です。ここでは、犬が飼い主についてくる基本心理から、依存と分離不安症の違いまでお伝えしていきます。
まずは、それぞれの違いを正しく理解していきましょう!
犬が飼い主のあとをついてくる行動の基本心理
犬が飼い主のあとをついてくるのは、もともと群れで生活していた動物としての本能が関係しています。
群れの中では常に仲間と一緒に行動することで、安全を確保し、食べ物を得てきました。この本能が家庭犬にも残っているため、信頼する飼い主の近くにいたがるのは自然な行動といえます。
さらに、犬は飼い主を「群れのリーダー」として認識していることが多いです。
そのため、リーダーの動きを常に把握しようとする習性から、部屋を移動するたびについてくることがあります。加えて、飼い主のそばにいることで安心感を得られるという心理的な理由も大きいでしょう。
このように、犬が飼い主についてくる行動自体は、基本的には愛情と信頼の表れなのです!
普通の甘えと依存症状の境界線
普通の甘えと依存症状の境界線は、犬が「飼い主と離れても落ち着いていられるか」という点にあります。
健全な甘えの場合、犬は飼い主のそばにいることを好みますが、離れたときでも不安になりすぎることはありません。たとえば、飼い主が別の部屋に行っても、しばらくすれば自分の居場所でくつろいだり、おもちゃで遊んだりできます。
一方、依存症状が出ている場合は、飼い主と離れること自体に強い不安を感じます。
具体的には、飼い主が視界から消えると鳴き続ける、ドアの前で待ち続ける、落ち着きなくウロウロするといった行動が見られるでしょう。また、飼い主が帰宅したときの興奮が異常に激しく、飛びついたり粗相をしたりすることもあります。
つまり、「一緒にいたい」という気持ちが、犬の精神的な安定を脅かすレベルに達しているかどうかが、甘えと依存の分かれ目なのです!
飼い主が見落としやすい「愛情ゆえの依存」
飼い主の愛情が深いほど、実は依存を招きやすいという皮肉な側面があります。
というのも、可愛い愛犬のために「常に一緒にいてあげたい」「寂しい思いをさせたくない」と考えるあまり、四六時中スキンシップを取りすぎてしまうケースが多いからです。このような接し方を続けると、犬は「飼い主がいないと生きていけない」という状態に陥ってしまいます。
たとえば、在宅ワークが増えて一日中一緒に過ごすようになった結果、犬が飼い主への依存を強めることがあります。
また、「可哀想だから」と留守番の練習をさせなかったり、不安そうにしているとすぐに抱っこしたりする習慣も、依存を深める原因になりかねません。愛情深い飼い主ほど、この「愛情ゆえの依存」に気づきにくいのです。
犬の自立心を育てることも、実は愛情の一つの形だと考えてみてください!
分離不安症とどう違うのか?最初に知っておくべきポイント
分離不安症は、単なる依存よりも深刻な精神的な問題です。
依存が「飼い主と離れたくない」という気持ちの強さだとすれば、分離不安症は「飼い主と離れると耐えられないほどのパニック状態に陥る」というレベルの症状を指します。具体的には、飼い主がいないときに破壊行動、過度な吠え、自傷行為、下痢・嘔吐などの身体症状が現れることもあるのです。
また、分離不安症の犬は、飼い主の外出準備の段階から強いストレス反応を示します。
鍵を持つ音、靴を履く動作など、外出のサインを察知しただけで、震える、よだれを垂らす、パニックになるといった行動が見られるでしょう。このような症状がある場合は、単なる依存ではなく、専門家の助けが必要な状態だと考えられます。
つまり、分離不安症は依存がさらに悪化した状態であり、早めの対処が求められるということです!
犬が「そばを離れない」ときに見られる行動サイン【要注意度チェック】
犬がそばを離れないとき、その程度によって対応の緊急度が変わってきます。
ここでは、犬の行動を4つのレベルに分けてご紹介していきます。それぞれのレベルで見られる特徴的なサインを知ることで、愛犬の状態を正しく把握できるでしょう。
自分の愛犬がどのレベルに当てはまるか、チェックしてみてください!
レベル1(軽度の甘え):常に近くにいたがる
レベル1は、最も軽度な状態で、健全な甘えの範囲内と言えます。
このレベルの犬は、飼い主が部屋を移動するとついてくることが多いものの、飼い主が少し離れても特に問題行動は起こしません。たとえば、リビングからキッチンに移動すると犬もついてきますが、キッチンに入れないときは静かに待っていられるといった具合です。
また、飼い主が在宅しているときは、できるだけ近くで休んでいたいという様子が見られます。
ソファに座れば足元に寝そべり、デスクワークをしていれば椅子の近くで丸くなっているといった行動が典型的でしょう。ただし、飼い主が外出しても、留守番中は比較的落ち着いて過ごせます。
このレベルであれば、深刻に心配する必要はありませんが、今後エスカレートしないよう適度な距離感を保つことも大切です!
レベル2(軽い依存):離れると鳴く・不安げに見つめる
レベル2になると、飼い主と離れることに対して軽い不安反応が現れ始めます。
たとえば、飼い主が別の部屋に行くと、クンクンと鳴いたり、ドアの前でじっと待ち続けたりする行動が見られるでしょう。また、飼い主が視界から消えると、不安そうな表情で見つめ続けたり、落ち着きなく部屋の中をウロウロしたりすることもあります。
さらに、飼い主が外出から帰ってきたときの反応が、やや過剰になりがちです。
玄関で激しく飛びつく、興奮して吠え続ける、しっぽを激しく振りながら体をこすりつけてくるといった行動が典型的でしょう。この段階では、留守番中に多少のストレスを感じているものの、まだ破壊行動などの問題行動には至っていません。
ただし、放置すると依存が深まる可能性があるため、早めの対策を始めることをおすすめします!
レベル3(中等度):外出準備でパニック・破壊行動が増える
レベル3では、飼い主の外出に対して明確なパニック反応が現れます。
鍵を持つ、靴を履く、バッグを持つといった外出の準備段階で、犬が落ち着きを失い始めるのが特徴です。震える、よだれを垂らす、激しく吠える、飼い主にしがみつくといった行動が見られるでしょう。
また、留守番中には破壊行動が増えてきます。
家具や壁を噛む、クッションを引き裂く、ゴミ箱をひっくり返すといった行動が頻繁に起こるようになります。さらに、トイレの失敗も増え、普段はできている場所での排泄ができなくなることもあるでしょう。
このレベルになると、犬自身が強いストレスを感じている証拠です。
飼い主としても、帰宅後の片付けや近隣への配慮など、負担が大きくなってきます。この段階で適切な対処を始めないと、さらに悪化する恐れがあるため、早急な対応が必要です!
レベル4(分離不安疑い):飼い主不在で強いストレス症状が出る
レベル4は、分離不安症が強く疑われる最も深刻な状態です。
このレベルでは、飼い主がいないときに身体的な症状まで現れるのが特徴といえます。具体的には、下痢、嘔吐、食欲不振、過度のよだれ、自傷行為(足や尾を舐め続けるなど)といった症状が見られるでしょう。
また、留守番中の行動がエスカレートし、窓ガラスを割る、ドアを壊すといった危険な破壊行動に及ぶこともあります。
近隣住民からの苦情が来るほどの長時間の吠え続けや、遠吠えが止まらないといったケースも珍しくありません。さらに、飼い主が帰宅した直後は、興奮しすぎて粗相をしたり、失神しそうなほど激しく興奮したりすることもあるのです。
このレベルに達している場合は、飼い主だけで解決しようとせず、獣医師や動物行動学の専門家に相談することが強く推奨されます!
犬が離れない原因は5つ|環境・しつけ・心理・性格・病気まで解説
犬が飼い主から離れない原因は、一つではありません。
環境の変化、しつけの問題、心理的な要因、犬の性格、さらには病気まで、さまざまな要素が絡み合っていることが多いのです。ここでは、代表的な5つの原因について詳しくお話ししていきます。
愛犬に当てはまる原因を見つけることが、改善への第一歩です!
① 環境の変化(引っ越し・出産・テレワークなど)による不安
犬は環境の変化に敏感な動物であり、生活環境が変わると不安を感じやすくなります。
引っ越しは、犬にとって最も大きなストレス要因の一つです。慣れ親しんだ家、においや音のパターン、散歩コースなど、すべてが一変してしまうため、犬は強い不安を抱くことになります。その結果、唯一の安心材料である飼い主のそばから離れられなくなるのです。
また、家族構成の変化も大きな影響を与えます。
赤ちゃんの誕生や新しい家族が増えたとき、犬は「自分の立場が危うくなった」と感じることがあるでしょう。さらに、テレワークの開始や終了といった飼い主の生活パターンの変化も、犬にとっては混乱の原因になります。
このような環境変化があったときは、犬が不安を感じるのは当然のことだと理解し、時間をかけて慣れさせることが重要です!
② 子犬期の接し方・留守番トレーニング不足
子犬期の接し方は、成犬になってからの依存度に大きく影響します。
子犬のときから常に人間のそばにいる環境で育つと、犬は「一人でいる時間」を経験する機会がありません。そのため、飼い主と離れること自体が異常な状態だと認識してしまい、依存体質になりやすいのです。
特に、留守番トレーニングを全く行わずに育てると、問題が顕著になります。
「可哀想だから」と一度も留守番をさせなかったり、留守番の時間を極端に短くしたりすると、犬は自立心を育てる機会を失います。また、外出するたびに「行ってくるね」と長々と話しかけたり、帰宅時に大げさに喜んだりする習慣も、依存を助長する要因になるでしょう。
子犬期から適度な距離感を保ち、段階的に留守番の練習をすることが、将来の依存を防ぐ鍵となります!
③ 飼い主との愛着が強すぎる(愛情過多のケース)
飼い主の愛情が深すぎることも、実は依存の原因になり得ます。
犬を家族として大切にすることは素晴らしいことですが、その愛情が「過保護」や「過干渉」になってしまうと、犬の自立心が育ちません。たとえば、犬が少しでも不安そうにしているとすぐに抱っこする、常に話しかける、一日中スキンシップを取り続けるといった行動は、犬に「飼い主なしでは生きられない」という感覚を植え付けてしまうのです。
また、飼い主自身が犬との時間を生きがいにしすぎていると、無意識のうちに依存関係を作ってしまいます。
飼い主が「犬がいないと寂しい」と感じている場合、犬もその感情を敏感に察知し、飼い主のそばを離れられなくなることがあるでしょう。つまり、依存は犬だけでなく、飼い主側の心理状態も関係していることが多いのです。
愛情を注ぐことと、自立を促すことのバランスを取ることが大切です!
④ 運動不足・刺激不足による退屈ストレス
運動不足や刺激不足も、犬が飼い主にべったり依存する原因の一つです。
犬は本来、活発に動き回り、様々な刺激を受けることで心身の健康を保つ動物といえます。しかし、散歩の時間が短すぎたり、いつも同じコースばかりだったりすると、犬は十分な運動や刺激を得られません。その結果、退屈とストレスが溜まり、飼い主との触れ合いだけが唯一の楽しみになってしまうのです。
また、知的な刺激が不足している場合も同様の問題が起こります。
おもちゃで遊ぶ時間がない、飼い主以外の犬や人と交流する機会がないといった状況では、犬の好奇心や探求心が満たされません。そのため、飼い主だけに注意が集中し、飼い主への執着が強くなるでしょう。
適度な運動と多様な刺激を提供することで、犬の興味の対象を広げ、健全な関係を築くことができます!
⑤ 病気・痛み・老化など「体調の不安」から離れないことも
見落とされがちですが、体調の問題が原因で犬が飼い主から離れなくなることもあります。
病気や怪我による痛み、不快感があると、犬は本能的に信頼できる相手のそばにいて守ってもらおうとします。たとえば、関節炎、内臓疾患、歯の痛みなどがある場合、犬は安心感を求めて飼い主のそばを離れなくなるのです。
また、老化による不安も大きな要因になります。
視力や聴力が低下すると、犬は周囲の状況を把握しにくくなり、不安を感じやすくなるでしょう。さらに、認知症の初期症状として、飼い主への依存が強まることも知られています。このような場合、行動だけでなく、他の症状(食欲の変化、元気のなさ、歩き方の異常など)も併せて観察することが重要です。
もし、急に離れなくなった、以前は平気だった留守番ができなくなったという変化があれば、まず獣医師に相談してみることをおすすめします!
今日からできる!犬が「常に離れない」状態をやさしく改善する方法
犬が常に飼い主のそばを離れない状態を改善するには、焦らず段階的に進めることが大切です。
いきなり突き放すのではなく、犬のペースに合わせながら、少しずつ自立心を育てていく方法をご紹介していきます。ここでお伝えする方法は、どれも今日から実践できるものばかりです。
愛犬との健全な関係を築くために、できることから始めてみてください!
「距離をとる練習」を少しずつ始める(段階的トレーニング)
距離をとる練習は、まずは数秒から始めるのがポイントです。
最初は、犬がリラックスしているときに、ほんの1~2メートル離れてみることから始めましょう。このとき、犬が不安そうにしても、すぐに戻らずに数秒間待つことが大切です。犬が落ち着いていられたら、すぐに戻って褒めてあげてください。
次に、徐々に距離と時間を伸ばしていきます。
5メートル離れて10秒、次は別の部屋に行って30秒、その次は1分といったように、少しずつステップアップしていくのです。この際、犬が不安になりすぎない範囲で進めることが重要でしょう。もし犬がパニックになったら、一つ前の段階に戻って再度練習します。
また、練習のタイミングも工夫してみてください。
散歩の後や食事の後など、犬が満足して落ち着いているときに行うと成功しやすいです。焦らず、犬のペースに合わせて進めることが、この練習の成功の鍵となります!
犬が落ち着ける場所をつくる|独立スペースの作り方
犬専用の安心できる場所を作ることは、自立を促す上で非常に効果的です。
まず、家の中に犬専用のスペースを設けましょう。クレートやケージ、犬用ベッドなど、犬が「ここは自分の場所」と認識できるエリアを用意します。このスペースは、飼い主の寝室や居間から少し離れた場所に設置するのが理想的です。
次に、そのスペースを「楽しい場所」として認識させていきます。
そこでおやつをあげたり、お気に入りのおもちゃを置いたりして、ポジティブなイメージを持たせましょう。また、飼い主が近くにいる状態で、そのスペースで過ごす時間を徐々に増やしていくのも効果的です。
さらに、飼い主がいないときでも、そこで落ち着いていられるように訓練します。
最初は数分から始め、徐々に時間を延ばしていくのです。このとき、犬が落ち着いて過ごせたら、必ず褒めてあげることを忘れないでください。こうして、犬が「一人でいる時間も悪くない」と学んでいくことが大切です!
外出前後のルーティンで不安を減らす方法
外出前後のルーティンを変えることで、犬の不安を大幅に軽減できます。
まず、外出前の「お別れの挨拶」を極力短く、淡白にすることが重要です。多くの飼い主は「行ってくるね」「いい子にしててね」と長々と話しかけがちですが、これは犬の不安を煽ってしまいます。代わりに、何事もないかのように、さりげなく出かけるようにしましょう。
また、外出の準備をする順番を毎回変えることも効果的です。
いつも「着替える→鍵を持つ→靴を履く」という順番だと、犬はこのパターンを覚えて不安になります。そのため、時には鍵を持ってから着替えたり、靴を履いてしばらくしてから出かけたりして、予測できないようにするのです。
帰宅時も同様に、大げさに喜ばないことが大切です。
玄関で激しく興奮している犬に対して、すぐに抱きついたり高い声で話しかけたりすると、「飼い主がいなかったこと」が特別な出来事だと認識させてしまいます。帰宅後は、まず自分の荷物を片付けるなど日常的な動作をしてから、落ち着いた様子で犬に接するようにしてみてください!
運動量と刺激を増やして、依存の原因を根本から減らす
十分な運動と刺激を与えることは、依存改善の根本的な解決策になります。
まず、散歩の時間と質を見直してみましょう。犬種や年齢にもよりますが、多くの犬は1日に最低30分~1時間の散歩が必要です。また、いつも同じコースを歩くのではなく、時には新しい場所に連れて行ったり、ドッグランで自由に走らせたりすることも大切でしょう。
さらに、知的な刺激を与える遊びを取り入れることも効果的です。
ノーズワーク(においを使った宝探しゲーム)、知育玩具、新しいトリックの練習などは、犬の頭を使わせ、満足感を与えます。これらの活動に疲れた犬は、飼い主がいなくても落ち着いて休めるようになるのです。
加えて、他の犬や人との交流の機会を増やすことも重要です。
ドッグカフェ、しつけ教室、友人の犬との遊び会などに参加することで、犬の社会性が育ち、飼い主だけが世界のすべてではないと理解できるようになります。こうした多様な経験が、健全な精神状態を作り上げていくのです!
スキンシップは量ではなく「質」を高めるのがおすすめ
スキンシップは、量を減らして質を高めることが依存改善の鍵です。
一日中べったりとくっついているよりも、短時間でも集中して向き合う時間を作る方が、犬にとって満足度が高いと言えます。たとえば、1日に3回、10分ずつ犬と真剣に遊んだり、マッサージをしたりする時間を設けると良いでしょう。
また、スキンシップのタイミングも工夫してみてください。
犬が要求してきたときにすぐ応えるのではなく、飼い主の都合の良いタイミングで行うのです。これにより、犬は「飼い主のペースに合わせる」ことを学び、常に注目を求める行動が減っていきます。
さらに、スキンシップの内容にもメリハリをつけることが大切です。
ただ撫でるだけでなく、アイコンタクトを取りながら話しかける、一緒にトリックの練習をする、静かにブラッシングをするなど、多様な形のコミュニケーションを取り入れましょう。こうすることで、犬は「量より質」の満足感を得られるようになります!
やってはいけないNG対応|犬の依存を悪化させる行動とは?
良かれと思ってやっている行動が、実は犬の依存を悪化させていることがあります。
ここでは、飼い主がやりがちなNG行動を具体的にご紹介していきます。これらの行動を避けることで、犬との健全な関係を保つことができるでしょう。
自分が当てはまっていないか、チェックしてみてください!
過剰な抱っこ・ベタベタ接触が依存を深める理由
過剰な抱っこやベタベタとした接触は、犬の依存を深める大きな原因です。
犬を常に抱っこしていると、犬は「地面に降りること=不安なこと」と学習してしまいます。特に小型犬の飼い主に多く見られるこの行動は、犬の自立心を奪い、飼い主の腕の中だけが安全な場所だと認識させてしまうのです。
また、一日中ベタベタと触れ合っていると、犬は「飼い主との身体的接触がない状態」を異常だと感じるようになります。
そのため、少しでも離れると不安になり、常に飼い主にくっついていないと落ち着けなくなるでしょう。これは、犬にとっても飼い主にとってもストレスの原因になります。
さらに、過剰な接触は犬の社会性の発達も妨げます。
他の犬や人との交流よりも飼い主との接触ばかり求めるようになり、結果として社会性が育たなくなるのです。適度な距離感を保つことが、犬の精神的な健康には不可欠だと理解してみてください!
外出前の「長いお別れの挨拶」は逆効果
外出前に長々とお別れの挨拶をすることは、実は犬の不安を煽る行動です。
「行ってくるね」「寂しいけど待っててね」「いい子にしててね」と繰り返し話しかけると、犬は「これから何か特別な(悪い)ことが起こる」と感じ取ります。飼い主の不安や罪悪感も犬に伝わり、余計に不安を増幅させてしまうのです。
また、長い挨拶は「別れること」を大きなイベントとして印象づけてしまいます。
本来、外出は日常的な出来事であり、特別なことではありません。しかし、毎回長い儀式のようなお別れをすることで、犬は「飼い主がいなくなること」を異常な事態だと認識してしまうでしょう。
理想的な外出の仕方は、何も言わずにさりげなく出ていくことです。
犬が気づかないうちに出かけるくらいが丁度良いと言えます。もしどうしても声をかけたい場合は、「行ってきます」と一言だけ、普段の会話と同じトーンで言う程度に留めてみてください!
不安で鳴くたびに構うのはNG(でも無視だけも危険)
犬が不安で鳴いているときに、毎回すぐに構ってしまうのは好ましくありません。
というのも、犬は「鳴けば飼い主が来てくれる」と学習してしまい、鳴く行動が強化されてしまうからです。たとえば、別の部屋に行ったときに犬が鳴いて、すぐに戻ってしまうと、犬は「鳴くことで飼い主をコントロールできる」と理解します。
しかし、完全に無視するのも危険な場合があります。
特に、パニック状態にある犬や、分離不安症の疑いがある犬を完全に無視すると、さらに症状が悪化することがあるのです。また、病気や怪我で鳴いている可能性もあるため、一律に無視するのは適切ではありません。
適切な対応は、鳴いている理由を見極めることです。
単なる甘えや要求であれば、鳴き止んでから戻る、落ち着いたら褒めるといった対応をします。一方、明らかにパニックになっている場合は、落ち着かせてから徐々に距離を取る練習をするなど、段階的なアプローチが必要でしょう!
叱る・閉じ込める・急に突き放す──逆効果になる行動一覧
犬の依存行動に対して、叱ったり罰を与えたりすることは完全に逆効果です。
犬が不安で鳴いているときや、飼い主にしがみついているときに叱ると、犬はさらに不安が増し、問題行動がエスカレートします。なぜなら、犬は「なぜ叱られているのか」を理解できず、ただ飼い主との関係に混乱と不安を感じるだけだからです。
また、急に突き放す行動も危険です。
今まで四六時中一緒にいたのに、突然長時間の留守番をさせたり、冷たく接したりすると、犬は混乱し、極度のストレスを感じます。これは、依存を治すどころか、分離不安症を引き起こす可能性さえあるのです。
さらに、閉じ込めることも推奨できません。
クレートやケージに無理やり閉じ込めて外出すると、犬はその場所を「嫌な場所」「閉じ込められる場所」として認識してしまいます。本来、クレートは犬にとって安心できる場所であるべきですが、罰として使うとその意味が失われてしまうでしょう。
依存の改善には、罰ではなく、段階的なトレーニングと愛情が必要です!
さらに知りたい人のためのガイド:分離不安症・留守番トレーニング・専門家への相談目安
ここまで読んでさらに詳しく知りたいという方のために、より専門的な情報をまとめてご紹介していきます。
分離不安症の詳しい特徴、留守番トレーニングの具体的な進め方、専門家への相談タイミング、そしてトレーナー選びのポイントまで取り上げていきます。愛犬の状態に応じて、必要な情報を参考にしてみてください!
分離不安症の特徴と判定ポイント
分離不安症には、いくつかの明確な特徴があります。
まず、飼い主の外出前から激しいストレス反応が見られることです。鍵を持つ音、靴を履く動作など、外出の兆候を察知しただけで、震え、よだれ、パニック状態になるのが典型的でしょう。また、飼い主が外出しようとすると、必死に阻止しようとしたり、ドアの前で立ちはだかったりする行動も見られます。
次に、留守番中の破壊行動や自傷行為が挙げられます。
家具を破壊する、ドアや窓を引っ掻く、自分の足や尾を舐め続けるといった行動が頻繁に起こるのです。さらに、長時間の吠え続けや遠吠え、排泄の失敗(特に飼い主のベッドや衣類への粗相)も特徴的な症状といえます。
加えて、身体症状が現れることもあります。
下痢、嘔吐、食欲不振、過度のよだれ、呼吸が荒くなるなど、明らかに体調に影響が出ているケースです。これらの症状が複数当てはまり、飼い主がいないときにのみ現れる場合、分離不安症の可能性が高いと判断できます!
留守番トレーニングの正しい進め方(初心者向け)
留守番トレーニングは、数秒から始めて段階的に進めるのが基本です。
まず、犬が落ち着いているときに、同じ部屋の中で数メートル離れることから始めましょう。犬が落ち着いていられたら、すぐに戻って褒めます。これを何度か繰り返したら、次は別の部屋に移動して数秒待ち、また戻るという練習に進むのです。
次に、玄関を使った練習に移ります。
玄関に行って、ドアを開けずに数秒待って戻る、ドアを開けて数秒待って戻る、外に出て5秒で戻る、10秒で戻るといったように、少しずつ時間を延ばしていきましょう。このとき、犬が落ち着いていられる時間内で終えることが重要です。
徐々に、実際の外出に近い状況を作っていきます。
靴を履いて外に出る、鍵を持って外に出る、車のエンジンをかけるなど、実際の外出で行う動作を練習に取り入れるのです。最終的には、数分、10分、30分と、実際の留守番時間を延ばしていきます。焦らず、犬のペースで進めることが成功の秘訣です!
獣医師・動物行動学の専門家に相談すべき具体的サイン
以下のようなサインが見られたら、専門家への相談を検討すべきです。
まず、自傷行為が見られる場合は早急な対応が必要といえます。足や尾を舐め続けて皮膚が赤くなっている、毛が抜けている、出血しているといった状態は、精神的な問題が深刻化している証拠です。また、破壊行動によって怪我をする危険がある場合(窓ガラスを割ろうとする、ドアを壊そうとするなど)も、すぐに相談しましょう。
次に、身体症状が出ている場合も要注意です。
留守番のたびに下痢や嘔吐をする、食欲が極端に落ちる、体重が減少しているといった症状は、ストレスが身体に影響を及ぼしている証拠といえます。さらに、飼い主の生活に深刻な影響が出ている場合(仕事に行けない、近隣からの苦情が絶えないなど)も、専門家の助けが必要でしょう。
また、家庭でのトレーニングを数週間続けても全く改善が見られない場合も、相談のタイミングです。
専門家は、薬物療法やより高度な行動療法など、家庭では実施できない治療法を提案してくれます!
トレーナー選びで失敗しないためのチェックポイント
良いトレーナーを選ぶには、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、資格や経験を確認することが大切です。日本ペットドッグトレーナーズ協会(JAPDT)や日本動物病院協会(JAHA)などの認定資格を持っているか、分離不安症の扱いに経験があるかを尋ねてみましょう。また、獣医行動学の専門医(獣医行動診療科認定医)がいるかどうかも重要なポイントです。
次に、トレーニング方法を確認してください。
罰を使わない「ポジティブ・トレーニング」を採用しているトレーナーを選ぶことをおすすめします。叱る、体罰を与える、力で抑え込むといった方法を使うトレーナーは避けるべきでしょう。また、カウンセリングの時間を十分に取ってくれるか、個々の犬の状況に合わせたプランを作ってくれるかも重要です。
さらに、実際にトレーナーと犬の相性を確認することも大切です。
初回カウンセリングで、トレーナーが犬に優しく接しているか、飼い主の話をしっかり聞いてくれるか、分かりやすく説明してくれるかを観察してみてください。信頼できると感じるトレーナーを選ぶことが、治療成功の鍵となります!
まとめ
犬が飼い主から離れないのは、「甘え」「依存」「分離不安症」という3つの異なる状態があり、それぞれ対処法が異なります。
健全な甘えであれば問題ありませんが、飼い主と離れることで強い不安を感じたり、身体症状が出たりする場合は、早めの対策が必要です。原因としては、環境の変化、子犬期のしつけ不足、愛情過多、運動不足、体調不良などが挙げられます。
改善には、段階的な距離の練習、独立スペースの確保、外出前後のルーティン改善、運動量の増加、質の高いスキンシップなどが効果的です。
一方で、過剰な抱っこ、長いお別れの挨拶、叱る・閉じ込めるといった行動は逆効果になるため避けるべきでしょう。もし自傷行為や身体症状が見られる場合は、専門家への相談をおすすめします。
愛犬との健全な関係を築くためには、愛情と適度な距離感のバランスが大切です。焦らず、犬のペースに合わせながら、一歩ずつ改善を進めていってください!
