「大切なペットを亡くしてから、どうしても気持ちが晴れない……」

そんなふうに感じている方は、もしかしたら”ペットロス症候群”の状態にあるかもしれません。

ペットを失った悲しみは自然なものですが、日常生活に支障が出るほど症状が続く場合は、心身のケアが必要なサインです。

この記事では、ペットロス症候群のセルフチェック20項目を用意し、今のあなたの状態を確認できるようにしています。

さらに、つらさが続く原因や今日からできる心のケア方法、専門家への相談目安までお伝えしていきます。

一人で抱え込まず、少しずつ前に進むための手がかりを見つけていきましょう!

そもそも「ペットロス症候群」とは?一般的な悲しみとの違いをやさしく解説

ペットロス症候群とは、ペットを亡くした悲しみが強く長引き、日常生活に支障をきたすほどの心身の不調が現れる状態のことです。

単なる悲しみとは異なり、強い罪悪感や自責の念、身体症状を伴う点が特徴といえます。

ここでは、一般的な悲しみとペットロス症候群の違いについて、3つの視点から整理していきます。

ペットロスと”ペットロス症候群”はどう違うのか?

まず押さえておきたいのが、「ペットロス」と「ペットロス症候群」は意味が異なるという点です。

ペットロスは、ペットを失ったことによる悲しみそのものを指します。

一方、ペットロス症候群は、その悲しみが深刻化し、不眠や食欲不振、うつ状態など心身に明確な症状が出ている状態のこと。

つまり、ペットロスは誰にでも起こる自然な反応であり、ペットロス症候群はその中でも特に深刻なケースを指すのです。

したがって、「悲しい気持ちがある=すぐに症候群」というわけではありません。

なぜ症状が強く出る人と軽く済む人がいるのか

ペットとの別れ方や関係性の深さによって、悲しみの強さには個人差が生まれます。

たとえば、突然の事故で失った場合や、最期を看取れなかった場合は、後悔や罪悪感が強くなりがちです。

また、一人暮らしでペットが唯一の家族だった人や、長年連れ添ってきた高齢のペットを失った人も、喪失感が大きくなる傾向にあります。

さらに、もともと几帳面で責任感が強い性格の人ほど、「もっとできたはずだ」と自分を責めやすく、症状が重くなることも。

このように、環境・性格・別れ方の3つが複雑に絡み合って、症状の強さが決まってくるのです。

正常な悲しみの反応(グリーフ)との境界線

ペットを失った直後に涙が止まらなくなったり、何も手につかなくなったりするのは、グリーフ(悲嘆)と呼ばれる自然な反応です。

グリーフは時間とともに少しずつ和らいでいき、数週間から数カ月で日常生活に戻れるようになります。

しかし、何カ月経っても症状が改善しない場合や、生活に大きな支障が続く場合は、ペットロス症候群の可能性が高まります。

具体的には、食事がほとんど喉を通らない、眠れない日が続く、仕事や学校を休みがちになる、といった状態が該当するでしょう。

境界線を見極めるポイントは、「時間の経過とともに回復しているか」「日常生活を送れているか」の2点です!

ペットロス症候群セルフチェック(全20項目)|心・体・行動の3方向から評価

ここからは、ペットロス症候群の可能性をセルフチェックできる20項目をご紹介していきます。

心の変化、身体の不調、行動の変化という3つの角度から、今のあなたの状態を確認してみてください。

当てはまる項目が多いほど、心身のケアが必要なサインといえます。

心のサイン(気持ち・思考の変化)

まずは、気持ちや考え方に現れるサインをチェックしていきましょう。

□ ペットのことを考えると涙が止まらなくなる

□ 「あのときもっと〇〇していれば」と後悔が頭から離れない

□ 自分のせいでペットが死んだと強く感じる

□ 何をしても楽しいと感じられなくなった

□ 将来に希望が持てず、無気力になっている

□ 他のペットを飼っている人を見ると辛くなる

□ ペットがいた頃の記憶がフラッシュバックする

これらの項目に複数当てはまる場合、心理的な負担が大きくなっている可能性があります。

身体に現れるサイン(不調・睡眠・食欲)

次に、体に現れる具体的な症状を確認していきます。

□ 夜、なかなか眠れない、または何度も目が覚める

□ 食欲がなく、体重が減ってきた

□ 頭痛やめまい、動悸がよく起こる

□ 疲れやすく、体が重く感じる

□ 胃の不調や下痢・便秘が続いている

□ 風邪をひきやすくなった、または治りにくい

身体症状が続くと、心だけでなく健康全体に影響が及んでしまいます。

行動・生活習慣の変化に表れるサイン

最後に、日常の行動や習慣の変化についてチェックしてみましょう。

□ 仕事や学校を休むことが増えた

□ 人と会うのが億劫で、外出を避けるようになった

□ ペットの写真や遺品を見ることができない(または逆に離れられない)

□ 家事や身の回りのことができなくなった

□ お酒やタバコの量が増えた

□ 趣味や好きだったことに興味がなくなった

□ SNSやニュースを見るのも辛くなった

行動面での変化は、周囲からも気づかれやすいサインです!

チェック結果の見方|軽度・中等度・重度の3段階でわかる「いまのあなたの状態」

セルフチェックが終わったら、当てはまった項目の数をもとに、今のあなたの状態を確認していきましょう。

ここでは、軽度・中等度・重度の3段階に分けて、それぞれの特徴と対応方法をお伝えしていきます。

自分がどの段階にいるかを知ることで、適切なケアの方向性が見えてきます。

軽度(自然な悲しみの範囲)に当てはまる人の特徴

チェック項目が0〜5個の場合、あなたの悲しみは自然な範囲内にあるといえます。

このレベルでは、涙が出たり寂しさを感じたりすることはあっても、日常生活には大きな支障が出ていません。

食事や睡眠もある程度取れており、仕事や家事もこなせている状態です。

時間とともに少しずつ心が回復していく可能性が高いため、無理に感情を抑える必要はありません。

むしろ、悲しいときは泣いて、思い出を大切にしながら、ゆっくりと前に進んでいきましょう!

中等度(要注意レベル)の状態とケアのポイント

チェック項目が6〜12個の場合、心身に負担がかかり始めている要注意レベルです。

悲しみが強く、日常生活の一部に支障が出ている可能性があります。

たとえば、眠れない日が週に数回ある、食欲が落ちている、外出が億劫になっているといった状態です。

この段階では、一人で抱え込まず、信頼できる人に話を聞いてもらうことが大切になってきます。

また、後ほど紹介するセルフケアを試したり、カウンセリングを検討したりすることで、症状の悪化を防ぐことができます。

無理をせず、早めに自分を労わる時間を作ってみてください。

重度(専門家への相談が必要)のサインとは?

チェック項目が13個以上の場合、専門家への相談を強くおすすめします。

このレベルでは、日常生活全般に深刻な影響が出ており、うつ状態に近い症状が現れている可能性が高いです。

具体的には、ほとんど眠れない、食事がほとんど取れない、仕事や学校に行けない、人と関わることすら辛いといった状態。

さらに、「生きていても意味がない」といった気持ちが浮かぶ場合は、早急に心療内科や精神科を受診する必要があります。

一人で乗り越えようとせず、必ず専門家の力を借りてください!

つらさが続く原因と、重症化しやすい人の特徴|なぜ苦しみが長引くのか?

ペットを失った悲しみが長引く背景には、いくつかの共通する要因があります。

ここでは、つらさが続く原因と、特に重症化しやすい人の特徴について詳しく見ていきましょう。

自分に当てはまる部分を知ることで、対処の糸口が見えてきます。

突然の別れ・後悔・罪悪感が引き起こす心理的負担

予期しない事故や急な病気でペットを失った場合、心の準備ができないまま別れを迎えることになります。

そのため、「なぜ気づいてあげられなかったのか」「もっと早く病院に連れて行けばよかった」という後悔が強く残りやすいのです。

また、安楽死を選択した場合は、「自分がペットの命を奪った」という罪悪感に苦しむ人も少なくありません。

こうした感情は、悲しみを複雑にし、心の回復を遅らせる大きな要因となります。

したがって、別れ方が突然であったり、後悔を伴ったりする場合は、症状が長引きやすいといえるでしょう。

一人で抱え込みやすい人の共通点

責任感が強く、人に弱音を吐けない性格の人は、悲しみを一人で抱え込む傾向にあります。

「ペットのことで泣くなんて恥ずかしい」「大げさだと思われたくない」と感じ、周囲に相談できないのです。

さらに、完璧主義の人は「もっと完璧に世話をしていれば」と自分を責めやすく、罪悪感が膨らみやすくなります。

また、家族や友人に「たかがペットでしょ」と言われた経験がある人は、理解されないと感じて心を閉ざしてしまうことも。

このように、性格や周囲の反応によって、悲しみが内にこもり、症状が悪化していくのです。

生活環境・性格・ペットとの関係性が与える影響

一人暮らしでペットが唯一の家族だった場合、喪失感は計り知れないものになります。

毎日の生活がペット中心だった人ほど、その存在がなくなったときの空虚感は大きいでしょう。

また、幼少期から一緒に育ったペットや、10年以上連れ添ったペットを失った場合は、人生の一部を失ったような感覚に陥ります。

性格面では、内向的で感情を表に出しにくい人、過去に大きな喪失体験がある人なども、症状が重くなりやすい傾向があるのです。

環境・性格・関係性のすべてが絡み合い、つらさの深さを左右していきます!

今日からできる心のケア方法10選|悲しみを否定しない優しい対処法

ここからは、今すぐ実践できる心のケア方法を10個ご紹介していきます。

どれも無理なく取り組めるものばかりなので、自分に合いそうなものから試してみてください。

大切なのは、悲しみを否定せず、自分を責めずに、少しずつ心を整えていくことです。

感情を無理に抑えないためのセルフケア

まず大切なのは、涙を我慢しないことです。

泣きたいときは思い切り泣くことで、感情が少しずつ整理されていきます。

また、ペットへの手紙を書くのも効果的です。

「ありがとう」「ごめんね」といった気持ちを言葉にすることで、心の中にあったモヤモヤが外に出ていきます。

さらに、信頼できる人に話を聞いてもらうことも重要です。

友人や家族に、ペットとの思い出や今の気持ちを話すだけでも、心は軽くなります。

感情を押し込めず、外に出す習慣を作っていきましょう!

罪悪感をやわらげるための考え方(認知の整理)

「自分のせいだ」という気持ちが強いときは、視点を少し変えてみることが助けになります。

たとえば、「あのとき病院に連れて行けばよかった」と思うなら、「当時の自分はベストを尽くしていた」と考え直してみましょう。

完璧な飼い主など存在しませんし、後から見ればいくらでも反省点は出てきます。

また、「ペットは幸せだったか?」と自問してみるのも一つの方法です。

きっと、たくさんの愛情を注いだ日々があったはずです。

そうした前向きな記憶に目を向けることで、罪悪感は少しずつ和らいでいきます。

ペットの思い出を”苦しみ”から”支え”に変える方法

ペットの写真や遺品を見ると辛くなる場合、無理に触れる必要はありません。

しかし、時間が経って少し落ち着いたら、思い出をポジティブな形で残すことをおすすめします。

たとえば、写真をアルバムにまとめる、お気に入りの一枚を飾る、メモリアルグッズを作るといった方法です。

また、ペットの名前で寄付をする、同じ境遇の人を支援するといった行動も、悲しみを意味あるものに変える手助けになります。

思い出は、苦しみではなく、あなたを支える力に変えていけるのです!

一人で抱え込まないための相談・コミュニティ活用

同じ経験をした人と話すことで、「自分だけじゃない」と感じられることがあります。

ペットロスの当事者が集まるオンラインコミュニティやSNSグループを活用してみましょう。

また、自治体やペット関連団体が主催するペットロスケアの集まりに参加するのも有効です。

専門のカウンセラーや心理士に相談することで、客観的なアドバイスをもらえることもあります。

一人で抱え込まず、誰かに話すだけでも心は確実に軽くなっていきます。

受診の目安・相談先一覧|医療機関・カウンセリング・自治体支援など

セルフケアを試しても症状が改善しない場合や、日常生活に深刻な支障が出ている場合は、専門家の力を借りることが必要です。

ここでは、受診の目安や相談先について、具体的にご紹介していきます。

早めに相談することで、症状の悪化を防ぎ、回復への道が開けます!

どんな状態になったら医療機関へ行くべき?

次のような状態が2週間以上続いている場合は、心療内科や精神科への受診を検討してください。

まず、ほとんど眠れない日が続いている場合です。

睡眠不足は心身の健康を大きく損ないます。

また、食事がほとんど喉を通らず、体重が急激に減っている場合も要注意です。

さらに、仕事や学校に行けない、家から出られない、人と会えないといった状態も受診の目安となります。

そして最も重要なのが、「死にたい」「消えたい」といった気持ちが浮かぶ場合です。

こうした考えが頭をよぎったら、すぐに医療機関や相談窓口に連絡してください。

心療内科・精神科・カウンセリングの違い

心療内科は、心の不調が体に現れている場合(不眠、食欲不振、頭痛など)に適しています。

精神科は、うつ状態や不安障害など、精神的な症状が強い場合に受診する診療科です。

どちらも薬物療法や心理療法を行っており、症状に応じて治療方法を選んでくれます。

一方、カウンセリングは、臨床心理士や公認心理師といった専門家が、話を聞きながら心の整理を手伝ってくれる場です。

薬を使わず、対話を通じて心を癒していきたい人に向いています。

自分の状態や希望に合わせて、適切な場所を選んでみてください!

緊急時に利用できる相談窓口(電話・SNS・自治体)

今すぐ誰かと話したい、辛い気持ちを聞いてほしいという場合は、以下の相談窓口が利用できます。

まず、厚生労働省が運営する「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」は、全国どこからでもかけられる電話相談です。

また、「よりそいホットライン(0120-279-338)」は24時間対応で、どんな悩みでも相談できます。

SNSで相談したい場合は、「こころのほっとチャット」や各自治体のLINE相談窓口もあるので、チェックしてみましょう。

さらに、ペットロス専門のカウンセリングサービスを提供している団体もあります。

一人で悩まず、まずは相談してみることが大切です。

まとめ

ペットロス症候群は、大切な家族を失った悲しみが深刻化し、心身に不調が現れる状態です。

セルフチェックで自分の状態を確認し、軽度・中等度・重度のどの段階にいるかを知ることが、適切なケアの第一歩になります。

つらさが続く原因には、突然の別れや罪悪感、一人で抱え込む性格、ペットとの深い関係性などが関わっています。

しかし、感情を無理に抑えず、思い出を大切にしながら、信頼できる人に話すことで、少しずつ心は回復していくものです。

もしセルフケアでは改善しない場合は、専門家の力を借りることを恐れないでください。

あなたの悲しみは、決して恥ずかしいものではありません。

ペットと過ごした日々を胸に、自分を責めず、優しく労わりながら、少しずつ前に進んでいきましょう!