「犬が言うことを聞いてくれないのは、主導権を握れていないから……?」
そんな風に悩んでいる飼い主さんは少なくありません。
しかし、実は犬との関係における「主導権」という言葉は、多くの誤解を含んでいるのが現状です。古い考え方では「犬は飼い主より上に立とうとする」「厳しくしつけないと支配される」といった考え方が広まりましたが、現代の動物行動学ではこうした認識は否定されています。
この記事では、犬との関係で言う「主導権」の正しい考え方と、犬が安心して従える関係の整え方についてお伝えしていきます。
支配や上下関係ではなく、信頼をベースにした穏やかな関係づくりのヒントを見つけていきましょう!
犬との関係で言う「主導権」とは何か?よくある誤解と正しい考え方
まず理解しておきたいのが、犬との関係における「主導権」とは何かという点です。
多くの飼い主さんが抱いているイメージと、現代のしつけ理論で考えられている内容には大きなズレがあります。ここでは、よくある誤解を整理しながら、正しい考え方を見ていきましょう。
「主導権=上下関係・支配」という誤解が広まった理由
「犬には厳しく接しないと舐められる」という考え方を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
この考え方は、オオカミの群れを研究した古い学説が元になっています。かつて犬はオオカミの子孫であるため、群れの中で順位をつけ、リーダーに従うという本能があると考えられていました。
そのため「飼い主が強いリーダーにならなければ、犬が家族の中で上位に立とうとする」という理論が広まったのです。
しかし、その後の研究でこの理論には多くの誤りがあることが判明しました。
そもそもオオカミの研究自体が、飼育下という特殊な環境で観察されたものであり、野生のオオカミの行動とは異なっていたことがわかっています。さらに、犬はオオカミとは異なる進化を遂げており、人間と暮らすために協調性を発達させてきた動物です。
つまり、犬は本能的に「飼い主より上に立とうとする」わけではありません。
犬は本当に”飼い主より上に立とうとする”動物なのか
結論から言えば、犬が「飼い主を支配しよう」と考えることはほぼありません。
なぜなら、犬は人間と異なる思考パターンを持っており、上下関係や権力といった概念で行動していないからです。
たとえば、散歩中に飼い主を引っ張るのは「自分がリーダーだと思っているから」ではなく、単純に「早く目的地に行きたい」「興味のあるにおいを嗅ぎたい」といった欲求からくる行動。ごはんの前に吠えるのも「支配しようとしている」のではなく、「吠えればごはんがもらえる」という学習の結果です。
このように、犬の問題行動の多くは「主導権争い」ではなく、学習や環境、興奮状態によって引き起こされています。
したがって、「犬が言うことを聞かない=下に見られている」と考える必要はありません。
今のしつけ理論で考える「主導権」の本当の意味
では、現代のしつけ理論では「主導権」をどう捉えているのでしょうか。
それは、「犬が飼い主を信頼し、安心してついていける関係性」のことです。
つまり、力で押さえつけたり、怖がらせたりして従わせるのではなく、犬が「この人の指示に従っていれば安全で快適に過ごせる」と感じられる状態を作ることが重要になります。
具体的には、一貫したルールを提供し、犬にとって予測可能な環境を整えることがポイント。
たとえば、ごはんの時間や散歩のルーティンが安定していると、犬は飼い主の行動パターンを理解し、不安を感じにくくなります。また、指示を出すときに毎回同じ言葉や動作を使うことで、犬は何を求められているのかを明確に理解できるようになるのです。
このように、主導権とは「支配」ではなく「信頼に基づいた安定した関係」を指しています!
犬が言うことを聞かないのは”主導権争い”ではない理由
愛犬が言うことを聞いてくれないとき、つい「主導権を握れていないからだ」と感じてしまいがちです。
しかし実際には、犬の問題行動のほとんどは主導権争いとは関係ありません。
ここでは、犬が指示に従わない本当の理由と、主導権の問題とトレーニング不足の違いについてお伝えしていきます。
犬の問題行動が起きる主な原因(興奮・不安・学習)
犬が指示を無視したり、問題行動を起こしたりする背景には、主に3つの要因があります。
まず1つ目が「興奮状態」です。
散歩中に他の犬を見て吠える、来客時に飛びつくといった行動は、興奮によって冷静な判断ができなくなっているケース。この状態では、飼い主の指示が耳に入らないため、従えないのは当然なのです。
2つ目は「不安やストレス」。
環境の変化や飼い主の不在、慣れない状況などで不安を感じると、犬は落ち着きを失います。その結果、普段はできていた「おすわり」や「待て」ができなくなることもあるでしょう。
そして3つ目が「学習の問題」。
犬は「この行動をすると良いことがある」と学習すれば、その行動を繰り返します。たとえば、吠えたらおやつをもらえた経験があれば、要求吠えが定着してしまうのです。
逆に、指示に従っても何も良いことがなければ、その指示を無視するようになります。
このように、犬の行動の多くは感情や学習によって引き起こされており、主導権争いとは無関係です。
「無視される=下に見られている」と感じてしまう心理
それでも「無視される=舐められている」と感じてしまう飼い主さんは少なくありません。
なぜなら、人間社会では無視や反抗は「相手を軽視している」というメッセージとして受け取られるからです。しかし、犬には人間のような社会的な意図はありません。
たとえば、名前を呼んでも振り向かないのは「あなたを下に見ているから」ではなく、「その瞬間に他に気になることがあるから」という単純な理由。犬は常に目の前の刺激に反応しているため、飼い主の呼びかけより魅力的なものがあれば、そちらに意識が向いてしまうのです。
また、指示を無視するように見える行動も、実際には「指示の意味を理解していない」「どう反応すればいいかわからない」といったケースがほとんど。
したがって、「無視される=主導権がない」と焦る必要はありません。
むしろ、犬が指示を理解しやすいようにトレーニングを見直すことが、問題解決の近道になります。
主導権の問題と、単なるトレーニング不足の違い
では、主導権が取れていない状態と、単なるトレーニング不足はどう見分ければよいのでしょうか。
実は、この2つを明確に区別する必要はほとんどありません。
なぜなら、どちらの場合でも解決策は「信頼関係の構築」と「適切なトレーニング」だからです。
ただし、強いて言えば以下のような違いがあります。
トレーニング不足は、犬が「何をすればいいかわからない」状態。一方、主導権が取れていないと感じる状態は、「飼い主の指示を聞く価値を感じていない」あるいは「飼い主の行動が予測できず不安を感じている」状態と言えるでしょう。
いずれにしても、力で押さえつけたり、厳しく叱ったりするアプローチでは解決しません。
むしろ、犬にとって「飼い主の指示に従うと良いことがある」「この人といれば安心できる」という経験を積み重ねることが大切です!
犬が安心して従える飼い主が自然にやっている行動パターン
犬が落ち着いて指示に従える飼い主には、共通する行動パターンがあります。
それは、特別厳しいわけでも、常に犬を監視しているわけでもありません。むしろ、犬が「この人についていけば大丈夫」と感じられる安定した環境を提供しているのです。
ここでは、そうした飼い主が自然に実践している習慣を見ていきましょう。
犬が「この人についていけば大丈夫」と感じる条件
犬が飼い主を信頼するために必要なのは、何よりも「予測可能性」です。
つまり、「この状況ではこうなる」というパターンが明確であることが重要になります。
たとえば、毎朝同じ時間に散歩に行く、ごはんの前には必ず「おすわり」をさせる、遊びの時間と休息の時間がはっきり分かれているといった日常のルーティンです。こうした一貫性があると、犬は飼い主の行動を予測でき、不安を感じにくくなります。
また、飼い主が感情的にならず、冷静に対応することも大切。
犬は飼い主の感情に敏感なので、イライラしたり不安定だったりすると、その影響を受けて落ち着きを失ってしまいます。逆に、飼い主が穏やかで一貫した態度を保っていれば、犬も安心して過ごせるのです。
さらに、犬にとって「良いこと」が起きる存在であることもポイント。
散歩や遊び、ごはんといった楽しい体験を提供してくれる飼い主には、自然とついていきたくなります。
主導権が取れている飼い主に共通する生活習慣
では、具体的にどんな生活習慣を持っている飼い主が、犬との良好な関係を築けているのでしょうか。
まず、日常のルールを明確にしていることが挙げられます。
たとえば、「人の食べ物は与えない」「ソファに乗せない」「散歩中は引っ張らせない」といったルールを家族全員で統一しているケース。犬は一貫したルールの中で生活することで、何が許されて何が許されないのかを理解しやすくなります。
次に、ごほうびのタイミングを大切にしていること。
指示に従ったとき、落ち着いた行動ができたときに、すぐにごほうび(おやつや褒め言葉)を与えることで、犬は「この行動は正しい」と学習します。
また、犬の状態をよく観察していることも特徴です。
興奮しているときには無理に指示を出さず、落ち着くまで待つ。疲れているときには休ませる。こうした配慮ができる飼い主は、犬にとって信頼できる存在になります。
そして、トレーニングを日常生活に組み込んでいることもポイントです。
特別な時間を設けるのではなく、散歩の前に「おすわり」をさせる、ごはんの前に「待て」を練習するといった形で、自然にトレーニングを続けている飼い主が多いのです!
厳しさよりも重要な”予測できる行動”とは
犬との関係づくりで最も重要なのは、厳しさではなく「予測できる行動」を取ることです。
なぜなら、犬は予測不可能な状況にストレスを感じ、不安定な行動を取りやすくなるからです。
たとえば、ある日は吠えても無視されるのに、別の日には叱られる、またある日にはおやつをもらえるといった状況では、犬は混乱してしまいます。この混乱が、問題行動を引き起こす原因になるのです。
一方、「吠えたら必ず無視される」というルールが徹底されていれば、犬は「吠えても意味がない」と学習し、吠える行動は自然と減っていきます。
また、飼い主の態度が安定していることも大切。
機嫌が良いときには甘やかし、機嫌が悪いときには厳しくするといった対応では、犬は飼い主の行動を予測できません。そうではなく、常に同じ基準で接することが、犬に安心感を与えます。
さらに、指示の出し方も統一することがポイント。
「おすわり」と言ったり「座って」と言ったり、言葉がバラバラでは犬は理解できません。同じ言葉、同じ動作で指示を出すことで、犬は混乱せずに従えるようになります。
このように、厳しさよりも「一貫性」と「予測可能性」が、犬との信頼関係を築く鍵になります!
【場面別】犬との主導権が崩れやすいシーンと整え方
日常生活の中で、犬との関係が乱れやすい場面はいくつかあります。
ここでは、よくあるシーンごとに、どのように対応すれば関係を整えられるのかを具体的にお伝えしていきます。
それぞれの場面で適切に対応することで、犬との信頼関係はより強固なものになっていくでしょう。
散歩で引っ張る・先に行くときの考え方と対応
散歩中に犬がぐいぐい引っ張るのは、飼い主を下に見ているからではありません。
単純に「早く進みたい」「気になるにおいがある」といった欲求から来る行動です。
したがって、力で引き戻したり、叱りつけたりする必要はありません。むしろ、「引っ張っても前に進めない」ということを学習させることが効果的です。
具体的には、犬が引っ張り始めたらその場で立ち止まり、リードが緩むまで待つという方法があります。リードが緩んだ瞬間に歩き始めることで、犬は「引っ張ると止まる、緩めると進める」というルールを理解していきます。
また、散歩の前に家の中で少し遊んで興奮を落ち着かせることも有効。
興奮状態のまま外に出ると、刺激に反応しやすくなり、引っ張る行動が出やすくなるからです。
さらに、「ついて」や「そば」といった指示を教えておくことで、飼い主の横を歩く行動を強化できます!
ごはんや遊びの要求に振り回されてしまう場合
犬が吠えたり飛びついたりして、ごはんや遊びを要求してくることはよくあります。
このとき、要求に応じてしまうと「吠えれば願いが叶う」という学習をさせてしまうため注意が必要です。
そのため、要求行動が出ている間は完全に無視することが基本。
目を合わせず、声もかけず、反応しないことで「この方法では通用しない」と教えます。そして、犬が落ち着いて静かになった瞬間にごはんを与える、遊びに応じるという対応を取りましょう。
また、ごはんや遊びの時間をある程度決めておくことも効果的。
毎日バラバラの時間に与えていると、犬は常に期待して落ち着かなくなります。一方、一定のルーティンがあれば「この時間になればもらえる」と理解し、無駄な要求が減っていくのです。
ただし、あまりに厳格すぎる必要はありません。
多少の時間のズレは問題ないので、大まかなリズムを作ることを意識してみてください。
興奮しやすい犬との関係を落ち着かせるコツ
興奮しやすい犬は、ちょっとした刺激でテンションが上がり、コントロールが難しくなります。
こうした犬との関係を落ち着かせるには、日常的に興奮を抑える練習を取り入れることが大切です。
たとえば、遊びの途中で「おすわり」や「待て」を挟むこと。
楽しい遊びの最中でも、飼い主の指示に従えば再び遊びが続くという経験をさせることで、興奮状態でも落ち着く力を養えます。
また、興奮する前に対応することもポイント。
たとえば、来客の気配がしたら、犬が興奮する前に別の部屋に移動させる、おもちゃで気を引くといった先回りの対応が有効です。
さらに、日常的に落ち着いた行動を褒めることも重要。
静かに座っている、穏やかに過ごしているといった瞬間におやつをあげたり、声をかけたりすることで「落ち着いていると良いことがある」と学習させましょう。
このように、興奮を事前に防ぎ、落ち着いた状態を強化することで、犬との関係は安定していきます!
甘噛み・飛びつきが続くときに見直すポイント
甘噛みや飛びつきは、子犬の頃に多い行動ですが、成犬になっても続く場合があります。
これらの行動が続く理由は、「その行動をしても止められなかった」「むしろ反応してもらえて楽しかった」という学習が原因です。
したがって、甘噛みをされたときには遊びを即座に中断し、無視することが基本。
「痛い!」と大きな声を出すと、犬は「反応してくれた!」と喜んでさらに噛むことがあるため、静かに離れることが効果的です。
飛びつきも同様に、飛びついてきたときには無視し、四足が地面についた瞬間に褒めるという対応を徹底しましょう。
また、エネルギーが余っていることも甘噛みや飛びつきの原因になります。
散歩や遊びの時間を増やし、適度に疲れさせることで、落ち着いた行動が増えていくでしょう。
さらに、噛んでもよいおもちゃを用意し、噛みたい欲求を満たしてあげることも大切です!
主導権を取り戻そうとして逆効果になるNG対応
犬との関係を改善しようとして、かえって悪化させてしまうケースは少なくありません。
特に「主導権を取り戻す」という意識が強すぎると、犬にとって有害な対応を取ってしまうことがあります。
ここでは、やってはいけないNG対応と、その理由についてお伝えしていきます。
怒鳴る・力で抑える・怖がらせる対応が招く結果
犬が言うことを聞かないとき、つい怒鳴ったり、力で押さえつけたりしてしまう飼い主さんもいるかもしれません。
しかし、こうした対応は犬との信頼関係を壊すだけでなく、問題行動を悪化させる原因になります。
なぜなら、怒鳴られたり怖がらされたりした犬は、飼い主を恐れるようになり、不安や攻撃性が増すからです。
たとえば、吠えている犬を怒鳴りつけても、犬は「なぜ怒られているのか」を理解できません。むしろ「飼い主が怖い」「この状況は危険だ」と感じ、さらに吠えるようになることもあります。
また、力で押さえつける方法も同様です。
犬を仰向けにして押さえる「アルファロール」といった方法は、かつて推奨されていましたが、現在では有害な方法として否定されています。こうした対応は犬に恐怖を与えるだけで、信頼関係を築くことはできません。
さらに、恐怖をベースにしたしつけは、犬の精神的な健康にも悪影響を及ぼします。
常にビクビクしている犬、飼い主の顔色をうかがう犬は、決して幸せとは言えないでしょう。
したがって、怒鳴る、力で抑える、怖がらせるといった対応は絶対に避けるべきです!
一貫性がない対応が犬を混乱させる理由
犬との関係を崩す最大の原因のひとつが、「一貫性のなさ」です。
たとえば、ある日はソファに乗せているのに、別の日には叱る。ある時は吠えても無視するのに、別の時にはおやつを与える。こうした対応のブレは、犬を混乱させてしまいます。
なぜなら、犬は「この行動をすると良いことがある」「この行動をすると悪いことがある」というパターンで学習するからです。
そのパターンが曖昧だと、犬は何が正しいのかわからず、不安定な行動を取るようになります。
また、家族の中でルールが統一されていない場合も問題です。
お父さんは厳しいのに、お母さんは甘い、子どもは好き勝手させているといった状況では、犬はどのルールに従えばいいのかわかりません。その結果、最も甘い対応をしてくれる人にだけ従い、他の家族の指示は無視するようになることもあります。
したがって、家族全員で同じルールを共有し、一貫した対応を取ることが非常に重要です。
ルールを決めたら、それを守り続けることで、犬は安心して従えるようになります!
「甘やかし」と「信頼」の違いを履き違えないために
犬との関係を考えるとき、「甘やかしすぎると舐められる」という不安を抱く飼い主さんもいます。
しかし、「甘やかし」と「信頼関係を築くこと」は全く別物です。
甘やかしとは、犬の要求に無条件で応じ、ルールを曖昧にすること。たとえば、吠えたらすぐにごはんをあげる、飛びついてきても気にしない、好き勝手に行動させるといった対応です。
こうした甘やかしは、犬に「自分の思い通りになる」という誤った学習をさせてしまいます。
一方、信頼関係を築くとは、犬にとって安全で予測可能な環境を提供し、適切な行動を褒めて強化すること。
たとえば、静かに待てたときにごはんを与える、落ち着いているときに遊んであげる、指示に従ったら褒めるといった対応です。こうした対応は、犬に「良い行動をすると良いことがある」と教え、自発的に良い行動を選ぶ力を育てます。
また、犬を愛情深く接することは、甘やかしではありません。
むしろ、犬は愛情を感じることで飼い主を信頼し、安心して生活できるようになります。ただし、その愛情が無秩序であってはいけません。
愛情とルールのバランスを取ることが、健全な関係づくりの基本です!
主導権が整っているかを確認するチェックポイントと専門家に相談すべき目安
ここまでの内容を踏まえて、自分と愛犬の関係が良好かどうかを確認してみることも大切です。
また、自力での改善が難しい場合には、専門家の力を借りることも選択肢のひとつ。
ここでは、関係性をチェックするポイントと、専門家に相談すべきタイミングについてお伝えしていきます。
主導権が取れている関係かを見極める簡単チェック
犬との関係が良好かどうかは、以下のポイントでチェックできます。
まず、日常生活で犬が落ち着いて過ごせているかどうか。
常に吠えたり、落ち着きがなかったり、飼い主の指示を無視したりする場合は、関係性に改善の余地があるかもしれません。逆に、普段は穏やかに過ごし、必要なときには指示に従える犬は、飼い主との信頼関係が築けていると言えるでしょう。
次に、基本的な指示(「おすわり」「待て」「おいで」など)に従えるかどうか。
これらの指示に従えるということは、犬が飼い主の言葉を理解し、従う価値を感じている証拠です。
また、散歩中の様子も重要。
常に引っ張る、他の犬や人に吠える、飼い主の存在を無視するといった行動が続く場合は、関係性の見直しが必要かもしれません。
さらに、犬が飼い主を信頼しているかどうかも見極めポイント。
たとえば、不安なときに飼い主のそばに来る、飼い主の声で落ち着くといった行動が見られれば、信頼関係が築けている証拠です!
自力での改善が難しいケースの特徴
すべての問題行動が自力で改善できるわけではありません。
以下のようなケースでは、専門家の助けを借りることを検討してみてください。
まず、攻撃性が見られる場合。
唸る、噛みつく、他の犬や人に対して攻撃的な態度を取るといった行動は、専門的な対応が必要です。こうした行動を放置すると、事故やトラブルにつながる可能性があるため、早めの相談が大切になります。
次に、極度の不安や恐怖を示す場合。
雷や花火、特定の音や場所に対して過剰に怯える、常に震えている、パニック状態になるといった症状がある場合は、行動療法や獣医師の診察が必要かもしれません。
また、何度トレーニングを試しても改善が見られない場合も、専門家に相談するタイミングです。
独学でのトレーニングには限界がありますし、間違った方法を続けていると、かえって問題が悪化することもあります。
さらに、飼い主自身がストレスを感じている場合も、相談を検討してみてください。
犬との関係に悩み続けることは、飼い主にとっても犬にとっても良い状態ではありません!
トレーナーや獣医に相談したほうがよいサイン
では、具体的にどのようなサインが出たら専門家に相談すべきなのでしょうか。
まず、犬の行動が日常生活に支障をきたしている場合。
たとえば、散歩に行けない、来客を迎えられない、家族が安心して過ごせないといった状況が続いているなら、専門家の力を借りることをおすすめします。
次に、犬が怪我をする、または他者に怪我をさせるリスクがある場合。
自傷行為や攻撃行動は、放置すれば深刻な事態を招く可能性があるため、早急な対応が必要です。
また、飼い主が感情的になってしまう場合も要注意。
イライラして怒鳴ってしまう、犬に対して否定的な感情を抱いてしまうといった状況は、関係性をさらに悪化させます。こうした場合、第三者の視点やアドバイスが役に立つでしょう。
さらに、犬の行動に突然の変化が見られた場合も、獣医師への相談が必要です。
急に攻撃的になった、食欲がなくなった、元気がないといった変化は、健康上の問題が隠れている可能性があります。
このように、自力での解決が難しいと感じたら、無理せず専門家に相談してみてください!
まとめ
犬との関係における「主導権」とは、支配や上下関係ではなく、犬が飼い主を信頼し、安心してついていける関係性のことです。
古い考え方では「厳しくしつけないと舐められる」とされていましたが、現代の動物行動学では、こうした考え方は否定されています。犬は飼い主より上に立とうとする動物ではなく、むしろ人間と協調して生きるために進化してきた存在なのです。
犬が指示に従わない理由の多くは、主導権争いではなく、興奮や不安、学習の問題。
したがって、力で押さえつけるのではなく、一貫したルールと予測可能な環境を提供することで、犬は自然と落ち着いた行動を取るようになります。
また、日常生活の中で犬が安心できる関係を築くには、厳しさよりも「予測できる行動」を心がけることが大切です。
散歩や食事、遊びの時間を安定させ、指示の出し方を統一することで、犬は飼い主の行動パターンを理解し、信頼を深めていきます。
もし自力での改善が難しいと感じたら、無理せず専門家に相談することも検討してみてください。
愛犬との関係は一朝一夕で築けるものではありませんが、日々の積み重ねが必ず実を結びます。焦らず、犬のペースに寄り添いながら、信頼に基づいた穏やかな関係を育てていきましょう!
