「うちの犬、最近言うことを聞かなくなった気がする……」

そんな不安を感じている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

犬のしつけは継続が大切ですが、忙しい日常の中でついつい後回しになってしまうもの。しかし、しつけを放置してしまうと、愛犬の問題行動が悪化し、飼い主さんにとっても犬にとってもストレスフルな生活になってしまいます。

この記事では、あなたの犬のしつけ放置度をチェックし、具体的な改善ステップをお伝えしていきます。愛犬との快適な生活を取り戻すための実践的なアドバイスをマスターしていきましょう!

しつけ放置度をチェック!あなたの愛犬に当てはまる項目は?

まずは、現在のしつけ状況を客観的に把握してみることが大切です。

以下のチェックリストで、あなたの愛犬のしつけ放置度を確認してみてください。

放置しがちな行動を10項目でセルフチェック

次の項目について、当てはまるものにチェックを入れてみてください。

  1. 無駄吠えを注意しても、その場限りで終わってしまう
  2. 甘噛みをされても「まだ子犬だから」と見過ごしている
  3. トイレの失敗を片付けるだけで、再教育をしていない
  4. 散歩中の引っ張りを「仕方がない」と諦めている
  5. 要求吠えに応えてしまうことが多い
  6. 「お座り」「待て」などの基本コマンドを最近練習していない
  7. 家族によってルールが違う(ある人は厳しく、ある人は甘い)
  8. しつけの時間を意識的に取っていない
  9. 問題行動が起きても「そのうち直るだろう」と思っている
  10. 犬が興奮しているときに、なだめるために構ってしまう

あなたのスコアは?放置度レベルの診断結果

チェックした項目数によって、放置度レベルを診断してみましょう。

0〜2個:放置度レベル【低】 しつけに対する意識が高く、継続的な取り組みができています。このまま一貫したしつけを続けることが重要です。

3〜5個:放置度レベル【中】 一部のしつけが曖昧になっている可能性があります。見直しが必要な部分を明確にして、改善に取り組んでみてください。

6〜8個:放置度レベル【高】 しつけの放置が進んでいる状態です。問題行動が悪化する前に、早急な対策が必要になります。

9〜10個:放置度レベル【危険】 しつけが完全に放置されている状況です。専門家のアドバイスを受けることを強くおすすめします。

放置度の目安と対処の緊急性レベル

それぞれのレベルに応じて、対処の緊急性も変わってきます。

レベル【低】の場合 現在の取り組みを継続しつつ、さらなるスキルアップを目指しましょう。新しいコマンドに挑戦してみることも良いでしょう。

レベル【中】の場合 今すぐ改善が必要というわけではありませんが、放置している部分を明確にして計画的に取り組む必要があります。

レベル【高】の場合 1〜2週間以内に具体的な改善計画を立て、実行することが重要です。放置を続けると問題行動が定着してしまう恐れがあります。

レベル【危険】の場合 できるだけ早く、プロのトレーナーや獣医師に相談することをおすすめします。自己流での改善が困難な段階に入っている可能性が高いです。

放置されたしつけが生む5つの”問題行動”とそのリスク

しつけを放置すると、どのような問題行動が生まれるのでしょうか。

代表的な5つの問題行動とそのリスクについて、詳しくお話ししていきます。

① 無駄吠えが止まらない犬になる

しつけを放置した結果、最も多く見られるのが無駄吠えの問題です。

犬は本来、警戒心や興奮状態を吠えることで表現する動物。しかし、適切なしつけがなされていないと、必要以上に吠え続けるようになってしまいます。

たとえば、来客があるたびに長時間吠え続けたり、散歩中に他の犬を見ただけで激しく吠えたりするような行動が見られるようになります。

さらに、近所迷惑になるだけでなく、犬自身もストレスを感じ続けることになり、健康面にも悪影響を与えかねません。

② 甘噛みがエスカレートして本気噛みに

子犬の頃の甘噛みを「可愛いから」と放置してしまうと、成犬になっても噛む行動が治らなくなってしまいます。

甘噛みは犬にとって自然な行動ですが、人間社会で生活する以上、適切なコントロールが必要です。

放置された甘噛みは徐々にエスカレートし、興奮したときや不満があるときに本気で噛むようになる可能性があります。

このような状況になると、家族はもちろん、来客や他の犬に怪我をさせてしまうリスクが高まります。また、噛み犬としてのレッテルを貼られ、社会生活に大きな支障をきたすことになりかねません。

③ トイレの失敗が日常化する

トイレのしつけを放置すると、失敗が日常化してしまいます。

犬は本来、決まった場所で排泄をしたがる動物です。しかし、適切な指導がないと、どこで排泄をしても良いと学習してしまいます。

その結果、家中のあちこちで排泄をするようになり、掃除の手間が増えるだけでなく、衛生面でも問題が生じます。

また、トイレの失敗が続くと、飼い主さんのストレスも蓄積され、犬との関係性が悪化する原因にもなりかねません。

④ 散歩で引っ張る・他の犬に吠える

散歩中のマナーを教えないまま放置すると、引っ張り癖や他の犬への吠え癖が定着してしまいます。

犬は散歩を楽しみにしているため、興奮状態になりやすいもの。しかし、適切なリードコントロールを教えないと、飼い主さんを引きずり回すような歩き方になってしまいます。

さらに、他の犬に対する社会化が不十分だと、出会うたびに激しく吠えるようになります。

このような状況では、散歩自体が飼い主さんにとってストレスとなり、犬の運動不足にもつながってしまいます。

⑤ 要求吠えや「わがまま行動」がクセに

犬の要求に応え続けると、要求吠えやわがまま行動がクセになってしまいます。

たとえば、おやつが欲しいときに吠える、散歩に行きたいときに吠える、構ってほしいときに吠えるといった行動です。

一度でも要求に応えてしまうと、犬は「吠えれば願いが叶う」と学習してしまいます。

その結果、飼い主さんが犬に振り回される生活になり、本来の主従関係が逆転してしまう可能性があります。

「うちの子は大丈夫」が危険!見逃しがちなNG対応とは?

多くの飼い主さんが「うちの子は大丈夫」と思い込んでしまいがちですが、実は見逃しているNG対応があるかもしれません。

ここでは、気づかないうちにしつけを放置してしまう危険なパターンについてお伝えしていきます。

放置と判断されやすい行動例

一見、しつけをしているように見えても、実際は放置になっている行動があります。

その場限りの注意 問題行動が起きたときだけ「ダメ」と言うが、継続的な指導をしていない状態です。犬は一貫性のない指導では学習できません。

感情的な叱り方 飼い主さんがイライラして大声で叱ったり、感情的になったりすると、犬は何が悪いのか理解できずに混乱してしまいます。

タイミングがずれた指導 問題行動から時間が経ってから叱っても、犬は何について叱られているのか分からなくなってしまいます。

これらの対応は、しつけをしているつもりでも、実際は効果的ではない放置状態と言えるでしょう。

「叱らない=放置」になっていないか見直す

最近では「叱らないしつけ」が推奨されることも多いですが、叱らないことと放置することは全く別のものです。

叱らないしつけとは、犬が正しい行動を取ったときに積極的に褒めて、望ましい行動を定着させる方法。一方で、問題行動を見て見ぬふりをするのは単なる放置です。

たとえば、甘噛みをされたときに「痛い」と言って遊びを中断し、正しい遊び方を教えることは叱らないしつけです。しかし、甘噛みをされても何も反応しないのは放置になってしまいます。

正しい叱らないしつけを実践するためには、犬の行動をしっかり観察し、適切なタイミングで導いてあげることが重要です。

甘やかしすぎると自己主張が強くなる?

愛犬を可愛がることは大切ですが、甘やかしすぎると自己主張が強くなってしまう可能性があります。

犬は群れで生活する動物のため、明確な序列や規則が必要です。甘やかしすぎると、犬が自分の方が上位だと勘違いしてしまい、飼い主さんの指示に従わなくなってしまいます。

また、犬の要求に何でも応えてしまうと、犬は「要求すれば叶う」と学習し、わがまま行動がエスカレートしてしまいます。

愛情を注ぐことと、適切なルールを教えることのバランスを取ることが、健全な関係性を築くために重要です。

放置しないために今からできる!行動別のしつけ改善ステップ

それでは、具体的にどのような改善ステップを踏めば良いのでしょうか。

代表的な問題行動別に、今すぐ実践できる改善方法をご紹介していきます。

無駄吠え→「吠えたときに無反応」が基本

無駄吠えを改善するための基本は、吠えたときに無反応を貫くことです。

多くの飼い主さんは、犬が吠えると「静かにしなさい」と声をかけてしまいがち。しかし、犬にとって飼い主さんの反応は「注目してもらえた」という報酬になってしまいます。

改善ステップ

  1. 犬が吠え始めたら、完全に無視する
  2. 吠えが止まったタイミングで「良い子」と褒める
  3. 吠えなかった時間を徐々に長くしていく
  4. 吠える原因(来客、他の犬など)を特定し、事前に対処する

このように、吠えない状態を積極的に褒めることで、犬は「吠えない方が良いことがある」と学習していきます。

トイレ失敗→「成功体験を積ませる」リセット法

トイレの失敗が続いている場合は、一度基本に戻って成功体験を積ませることが重要です。

犬は成功体験を通じて学習する動物のため、失敗を重ねるよりも成功を重ねる方が効果的です。

改善ステップ

  1. トイレのタイミングを観察し、排泄の兆候を見逃さない
  2. 排泄しそうなタイミングでトイレに誘導する
  3. 正しい場所で排泄したら、すぐに褒める
  4. 失敗したときは無言で片付け、叱らない
  5. 成功率が上がってきたら、徐々に誘導を減らしていく

また、失敗した場所はしっかりと消臭し、犬がそこをトイレだと認識しないようにすることも大切です。

甘噛み→「噛んだら遊び中断」でルールを教える

甘噛みの改善には、「噛んだら楽しいことが終わる」というルールを教えることが効果的です。

犬にとって遊びは最大の楽しみのため、遊びを中断されることは大きなペナルティになります。

改善ステップ

  1. 甘噛みされたら「痛い」と短く言う
  2. すぐに遊びを中断し、その場を離れる
  3. 犬が落ち着いたら、再び遊びを再開する
  4. 噛まずに遊べたときは、たくさん褒める
  5. 噛んで良いおもちゃを与え、正しい噛み方を教える

この方法を一貫して続けることで、犬は「人を噛むと楽しいことが終わる」「噛まないと楽しく遊べる」ということを理解していきます。

散歩の引っ張り→リードコントロールとアイコンタクトの練習

散歩での引っ張りを改善するには、リードコントロールとアイコンタクトの練習が効果的です。

犬が飼い主さんに注意を向けて歩くことができれば、引っ張り癖は自然と改善されていきます。

改善ステップ

  1. 家の中でリードを付けて歩く練習をする
  2. 犬が飼い主さんの横を歩いたときに褒める
  3. 引っ張ったときは立ち止まり、犬が振り返るまで待つ
  4. アイコンタクトが取れたら歩き始める
  5. 外でも同じルールを一貫して適用する

また、散歩前に家の中で少し運動をさせておくと、興奮状態を抑えることができます。

しつけが苦手でも大丈夫!継続するための5つのコツ

しつけが苦手な飼い主さんでも継続できる、実践的なコツをお伝えしていきます。

完璧を目指さず、小さな変化を積み重ねることが成功への近道です。

① 1日5分だけ「ルーティン化」する

しつけを継続するためには、無理のない範囲でルーティン化することが大切です。

毎日長時間しつけをしようと思うと、飼い主さんの負担が大きくなり、継続が困難になってしまいます。

ルーティン化のポイント

  • 朝起きてすぐ、または夕食前など、決まった時間にしつけを行う
  • 1回5分程度の短時間で区切る
  • 簡単なコマンド(お座り、待てなど)から始める
  • 成功したら必ず褒める
  • 失敗しても責めない

このように、短時間でも毎日継続することで、犬も飼い主さんも自然とルーティンが身に付いていきます。

② できたら褒める「成功体験」でやる気アップ

犬のしつけにおいて最も重要なのは、成功体験を積み重ねることです。

犬は褒められることで学習意欲が高まり、飼い主さんも犬の成長を実感できてやる気がアップします。

成功体験を作るコツ

  • 小さな成功でも大げさに褒める
  • おやつやおもちゃなど、犬が喜ぶご褒美を用意する
  • 犬の得意なことから始めて、自信を付けさせる
  • 進歩を記録し、成長を可視化する

また、飼い主さん自身も「今日はアイコンタクトが取れた」「トイレを成功した」など、小さな成功を意識的に見つけることが大切です。

③ 家族全員でルールを統一する

家族によってルールが違うと、犬は混乱してしまい、しつけの効果が薄れてしまいます。

全員が同じ方針でしつけに取り組むことで、犬は一貫したルールを学習できます。

ルール統一のポイント

  • 家族会議を開き、しつけ方針を話し合う
  • 使用するコマンドを統一する(「お座り」「座れ」を混在させない)
  • 褒め方や叱り方を統一する
  • 定期的に進捗を共有し、方針を見直す

特に、子どもがいる家庭では、子どもにも分かりやすいルールを設定することが重要です。

④ 失敗を責めないマインドセット

しつけがうまくいかないとき、つい犬を責めたくなってしまいますが、失敗を責めない心持ちを保つことが重要です。

犬は人間の感情を敏感に感じ取るため、飼い主さんがイライラしていると、犬も不安になってしまいます。

失敗を責めないためのマインドセット

  • 犬は人間の言葉を理解するまで時間がかかることを受け入れる
  • 失敗は学習の過程であると考える
  • 完璧を求めず、少しずつの改善を目指す
  • 自分の指導方法を見直し、改善点を見つける

また、しつけがうまくいかないときは、犬のせいではなく、伝え方や方法を変える必要があるのかもしれません。

⑤ 飼い主が学び続ける姿勢をもつ

犬のしつけは、飼い主さんが学び続けることで向上していきます。

犬の行動学や心理学を理解することで、より効果的なしつけができるようになります。

学び続けるための方法

  • しつけに関する本や記事を読む
  • 動画やセミナーで実践的な方法を学ぶ
  • 他の飼い主さんと情報交換をする
  • 定期的に獣医師やトレーナーに相談する

犬の個性や成長段階に応じて、しつけ方法も調整していく必要があります。常に学ぶ姿勢を持つことで、愛犬に最適なしつけを提供できるようになります。

しつけの”見直し”タイミングと専門家の力を借りるべきサイン

自己流のしつけだけでは限界がある場合もあります。

ここでは、しつけを見直すタイミングと、専門家の力を借りるべきサインについてお話ししていきます。

何度やっても直らないときのチェックポイント

同じしつけを何度も繰り返しているのに改善が見られない場合は、アプローチ方法を見直す必要があります。

チェックポイント

  • タイミングは適切か(問題行動の直後に対処しているか)
  • 一貫性があるか(家族全員が同じ対応をしているか)
  • 犬の理解度に合わせた方法か(難しすぎる、簡単すぎる)
  • 犬の気を引く要因はないか(騒音、他の犬など)
  • 健康状態に問題はないか(病気や怪我が影響している可能性)

これらの要素を一つずつ確認し、改善点を見つけることが大切です。

また、犬種や個体差によって学習スピードや適した方法が異なるため、愛犬の特性を理解することも重要です。

プロトレーナーに頼るべきタイミング

以下のような状況では、プロのトレーナーに相談することを強くおすすめします。

専門家への相談が必要なサイン

  • 攻撃的な行動(本気で噛む、唸る)が見られる
  • 自傷行為や異常な行動が続く
  • 3ヶ月以上同じ方法を続けても改善しない
  • 家族関係に悪影響が出ている
  • 近所迷惑になるレベルの問題行動がある

これらの状況では、専門的な知識と経験が必要になります。早めに相談することで、問題の深刻化を防ぐことができます。

また、しつけ教室やグループレッスンに参加することで、他の犬との社会化や飼い主さんのスキルアップも期待できます。

犬の性格に合わせたアドバイスを受ける重要性

犬には個体差があり、同じ方法が全ての犬に有効とは限りません。

プロのトレーナーは、犬の性格や特性を見極めて、最適なしつけ方法をアドバイスしてくれます。

個体差の例

  • 神経質な犬:優しく段階的なアプローチが必要
  • 活発な犬:エネルギーを発散させる運動と組み合わせる
  • 臆病な犬:安心できる環境作りから始める
  • 頑固な犬:根気強く、一貫した指導が必要

また、犬種特有の性質(狩猟犬、牧羊犬、愛玩犬など)を理解することで、より効果的なしつけができるようになります。

専門家のアドバイスを受けることで、愛犬に最適なしつけ計画を立てることができ、飼い主さんの負担も軽減されます。

まとめ

犬のしつけは、愛犬との幸せな生活を送るために欠かせない要素です。

この記事では、しつけ放置度チェックから始まり、具体的な改善ステップまでお伝えしてきました。重要なのは、完璧を目指すのではなく、継続的に取り組むことです。

まずは1日5分からでも構いません。愛犬の小さな成功を見つけて褒めることから始めてみてください。

また、一人で悩まず、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることも大切です。犬の個性や成長段階に応じて、柔軟にアプローチを調整していきましょう。

愛犬との信頼関係を築きながら、お互いが快適に過ごせる環境を作っていけるよう、今日から実践してみてください!