「昨日、犬をきつく叱ってしまった……」
そんな出来事のあと、愛犬の顔を思い出すたびに胸が締めつけられる方も多いのではないでしょうか。
一度叱ってしまうと、「嫌われたかもしれない」「もう信頼してもらえないかもしれない」という不安が頭から離れなくなるものです。
この記事では、犬を叱った後に罪悪感を抱く理由から、直後にすべき正しい対応、そして罪悪感を長引かせない気持ちの切り替え方まで、順を追ってお伝えしていきます。
あわせて、信頼関係を取り戻すための日々の接し方や、専門家に相談したほうがよいケースについても触れていきます。
最後まで読み進めることで、これからの犬との関わり方に自信が持てるはずです!
犬を叱った後に罪悪感を抱くのは、愛犬を大切に思っているから
犬を叱ったあとに強い罪悪感が湧いてくるのは、決して珍しいことではありません。
むしろそれは、愛犬のことを日頃から大切に思っている証拠だといえます。
ここでは、罪悪感が生まれる背景について、一つずつひも解いていきます。
叱った場面を何度も思い出してしまう理由
叱った直後の犬の表情や声は、記憶に強く残りやすいものです。
なぜなら、人は感情が大きく動いた場面ほど、脳に鮮明に刻み込みやすいからです。
そのため、時間が経ってもふとした瞬間に叱った場面がよみがえり、胸が苦しくなってしまいます。
ただし、何度も思い出すこと自体は自然な反応であり、責める必要はありません。
「犬に嫌われたかもしれない」という不安が罪悪感を強くする
犬に嫌われたのではという不安は、罪悪感をさらに大きくしてしまいます。
というのも、飼い主にとって犬との関係は生活の中心であり、その関係が崩れることへの恐れは大きいからです。
一方で、犬は人間ほど「嫌う」という感情を長く抱き続けるわけではないともいわれています。
このため、不安を感じたときこそ、犬の実際の様子を落ち着いて観察してみることが大切です。
反省することと自分を責め続けることは違う
反省と自己嫌悪は、似ているようでまったく別のものです。
反省は「次にどうするか」を考えるための前向きな行動である一方、自分を責め続けることは、次への行動につながりにくい傾向にあります。
そのため、叱ってしまったこと自体を認めたら、そこから先は改善策に意識を向けていくことがおすすめです。
だからこそ、罪悪感に飲み込まれず、一歩先を見据える姿勢が求められます。
一度叱っただけで信頼関係がすべて壊れるとは限らない
犬との信頼関係は、日々の積み重ねによって築かれています。
したがって、一度の叱責だけで、その積み重ねがすべて崩れてしまうケースはまれです。
とはいえ、叱り方があまりに激しかったり、頻繁に繰り返されたりする場合は注意が必要です。
このように、一度の出来事だけで悲観しすぎず、これからの関わり方を見直していくことが大切です。
犬を叱った直後に飼い主が取るべき5つの行動
犬を叱ったあとの数分間は、その後の関係を左右する大切な時間になります。
ここでは、叱った直後に飼い主が意識しておきたい5つの行動を取り上げていきます。
それ以上叱り続けず、まず飼い主が落ち着く
先ず大切なのが、それ以上叱り続けないということです。
興奮したまま言葉を重ねてしまうと、犬は何に対して注意されているのか分からなくなってしまいます。
そのため、深呼吸を一つ挟んでから、飼い主自身の気持ちを落ち着けてみてください。
気持ちが落ち着いてはじめて、犬にとっても分かりやすい態度が取れるようになります。
犬にけがや体調の変化がないか確認する
次に確認しておきたいのが、犬の体に異常がないかという点です。
興奮した拍子に思わぬ力が加わってしまい、けがにつながっているケースも考えられます。
歩き方や呼吸、鳴き方などをさりげなく観察してみましょう!
少しでも普段と違う様子があれば、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
犬が怖がっているときは無理に触らない
犬が体を縮めていたり、距離を取ろうとしていたりするときは、無理に触れないほうが賢明です。
なぜなら、怖がっている状態で触られると、さらに警戒心を強めてしまうことがあるからです。
このような場合は、犬が自分から近づいてくるまで、そっと見守る姿勢を心がけてみてください。
落ち着いた声と態度で普段の接し方に戻す
叱ったあとは、できるだけ早く普段どおりの声のトーンに戻すことが望ましいです。
低く落ち着いた声で名前を呼んだり、いつもと同じ表情で接したりすることで、犬も安心を取り戻しやすくなります。
反対に、過剰に優しくしすぎると、犬が混乱してしまう場合もあるため注意してみてください。
食事や散歩などの日常生活をいつもどおり続ける
最後に意識したいのが、日常生活のリズムを崩さないということです。
食事の時間や散歩のコースをいつもどおり保つことで、犬は「日常は変わっていない」と感じやすくなります。
このように、特別な対応をしすぎず、普段の生活を淡々と続けていくことが安心材料になります。
犬に嫌われた?叱った後に見せる反応と正しい受け止め方
叱ったあとの犬のしぐさを見て、「嫌われたかもしれない」と感じる飼い主は少なくありません。
ここでは、叱った後によく見られる反応と、その受け止め方についてお伝えしていきます。
目をそらす・あくび・舌なめずりは緊張のサインかもしれない
目をそらす、あくびをする、舌をなめるといったしぐさは、犬が緊張や戸惑いを感じているサインだといわれています。
これらは「カーミングシグナル」と呼ばれ、犬自身の気持ちを落ち着かせようとする行動の一つです。
つまり、こうした様子は嫌悪の表れというより、緊張をやわらげようとする自然な反応だと考えられます。
伏せる・耳を倒す姿を「反省している」と決めつけない
伏せの姿勢を取ったり、耳を後ろに倒したりする様子を見ると、「反省している」と受け取りたくなるものです。
しかし、こうした姿勢は多くの場合、恐怖や緊張から身を守ろうとする本能的な反応だとされています。
言い換えれば、犬は人間のように「悪いことをした」と論理的に反省しているわけではありません。
このため、姿勢だけで犬の内面を決めつけすぎないよう気をつけてみてください。
犬が近寄ってこないときは追いかけずに待つ
叱ったあと、犬がなかなか近寄ってこないこともあります。
そうした場合は、無理に追いかけたり呼び寄せたりせず、犬が自分のタイミングで動き出すのを待ってみましょう!
焦らず待つ姿勢が、結果的に犬の安心につながります。
自分から近づいてきたら穏やかに応じる
犬のほうから近づいてきたときは、大げさに構わず、穏やかな声と態度で応じることが大切です。
このとき優しく撫でたり、静かに話しかけたりすることで、犬も落ち着きを取り戻しやすくなります。
一方で、興奮させるような大きなリアクションは控えたほうが無難です。
唸る・震える・隠れ続ける場合は慎重に様子を見る
唸る、体が震え続ける、物陰から出てこないといった状態が長く続く場合は、通常の緊張とは異なる可能性があります。
そのため、無理に関わろうとせず、まずは安全な距離を保ちながら様子を見てみてください。
状態が改善しないときは、後述する専門家への相談も検討してみましょう。
犬を叱った罪悪感をひきずらないための気持ちの切り替え方
罪悪感は、いつまでも抱え続けていると飼い主自身の心の負担になってしまいます。
ここでは、罪悪感を長引かせないための気持ちの切り替え方について取り上げていきます。
「嫌われた」という想像と犬の実際の様子を分けて考える
先ず意識したいのが、頭の中の想像と、目の前の犬の様子を切り分けて考えることです。
「嫌われたかもしれない」という感情はあくまで飼い主側の想像であり、犬の実際の行動とは別のものだからです。
このため、不安になったときほど、犬が普段どおり食事をとっているか、そばに寄ってくるかといった事実に目を向けてみてください。
反省する時間を区切り、改善策を一つ決める
反省すること自体は大切ですが、際限なく続けてしまうと気持ちが沈み続けてしまいます。
そこで、反省する時間をあらかじめ区切り、そのなかで「次から気をつけること」を一つだけ決めてみましょう!
たとえば「大きな声を出す前に一呼吸置く」など、具体的で実行しやすい内容がおすすめです。
犬に何度も謝るより普段どおりの生活に戻す
罪悪感から、犬に対して何度も謝りたくなる気持ちも理解できます。
ただし、繰り返し謝罪の言葉や態度を見せることは、かえって犬を戸惑わせてしまうことがあります。
むしろ、いつもどおりの生活に早く戻すことのほうが、犬にとっては安心材料になりやすいです。
罪悪感からおやつや要求を与えすぎない
罪悪感を埋め合わせようと、おやつを増やしたり要求に応じすぎたりするのは避けたほうが賢明です。
なぜなら、そうした対応が続くと、犬が「要求すれば通る」と学習してしまう可能性があるからです。
そのため、普段どおりのルールを保ちながら接することをおすすめします。
完璧な飼い主ではなく、改善できる飼い主を目指す
完璧に叱らずに過ごすことは、現実的にはなかなか難しいものです。
だからこそ、目指すべきは完璧な飼い主ではなく、失敗から学んで少しずつ改善していける飼い主だといえます。
このように考えられると、罪悪感に押しつぶされることなく、前向きに犬と向き合っていけるはずです!
犬との信頼関係を取り戻し、同じ叱り方を繰り返さない方法
一度の出来事を振り返ることも大切ですが、それ以上に大切なのは今後の関わり方です。
ここでは、信頼関係を育てながら、同じような叱り方を繰り返さないための工夫についてお伝えしていきます。
穏やかな声かけや散歩・遊びを日々積み重ねる
信頼関係は、特別な出来事よりも日々の積み重ねによって育まれていきます。
穏やかな声かけ、毎日の散歩、遊びの時間などを継続することで、犬にとって安心できる存在になっていけます。
このため、叱った直後に限らず、日常の関わりを大切にしていく意識が欠かせません。
叱る基準や家庭内のルールを統一する
家族によって叱る基準がバラバラだと、犬は何が良くて何がいけないのか理解しにくくなります。
そこで、家庭内であらかじめルールを話し合い、対応を統一しておくことをおすすめします。
たとえば「噛んだときは全員が同じ言葉で注意する」など、具体的に決めておくと分かりやすいです。
問題行動が起きた原因を犬の立場から考える
問題行動を叱る前に、まずはその原因を犬の立場から考えてみることが大切です。
たとえば、運動不足やストレス、恐怖心などが背景にある場合、叱るだけでは根本的な解決になりません。
このように原因を探ることで、次に取るべき対応も見えやすくなります。
叱る代わりにしてほしい行動を教えて褒める
問題行動を減らすうえでは、叱ることよりも「してほしい行動」を教えるほうが効果的だとされています。
望ましい行動が見られたタイミングで褒めることで、犬はその行動を選びやすくなっていきます。
つまり、叱る回数を減らすためには、褒める機会を意識的に増やしていくことがポイントです。
柵や片付けなどで犬が失敗しにくい環境を作る
そもそも失敗が起きにくい環境を整えることも、叱る場面を減らす有効な手段です。
たとえば、誤飲しやすい物を片付けたり、柵で行動範囲を区切ったりする方法があります。
このような環境づくりによって、犬にとっても飼い主にとっても、無用なストレスを減らせます。
感情的になりそうなときの対処法を事前に決めておく
とはいえ、感情がこみ上げてしまう瞬間は誰にでも訪れるものです。
そのため、「イラっとしたら一度その場を離れる」など、感情的になりそうなときの対処法をあらかじめ決めておくと安心です。
このひと工夫があるだけで、行き過ぎた叱り方を防ぎやすくなります。
犬を叱りすぎたときに動物病院や専門家へ相談すべきケース
なかには、家庭内の工夫だけでは対応が難しいケースもあります。
ここでは、動物病院や専門家への相談を検討したほうがよい状況について取り上げていきます。
叩いた・強く引っ張った後に痛みや歩き方の異常がある
叩いてしまった、あるいはリードを強く引っ張ってしまったあとに、歩き方の異常や痛がる様子が見られる場合は注意が必要です。
このようなときは自己判断で様子を見続けず、早めに動物病院を受診してみてください。
食欲低下や震え、呼吸の変化が続いている
食欲が落ちる、震えが続く、呼吸が浅く速いといった状態が数日にわたって続く場合も、専門家への相談が望ましいです。
ストレスによる体調変化の可能性もあるため、放置せずに獣医師へ相談することをおすすめします。
飼い主を避ける・唸る・噛もうとする状態が続く
飼い主に近づかない、唸る、噛もうとするといった状態が長期間続く場合、家庭内での対応だけでは難しいことがあります。
このような状態は、犬との関係を見直す重要なサインとして受け止めてみてください。
問題行動が繰り返され、家庭だけでは改善が難しい
吠える、噛む、破壊行動などの問題行動が何度も繰り返され、改善の兆しが見えない場合もあります。
このケースでは、家庭内の工夫だけに頼らず、専門家の力を借りることも一つの選択肢です。
自分の怒りを抑えられず、再び強く叱る可能性がある
飼い主自身が「また同じように強く叱ってしまいそうだ」と感じる場合も、早めの相談をおすすめします。
感情のコントロールに悩んでいるときこそ、一人で抱え込まずに専門家を頼ってみてください。
獣医師・獣医行動診療科・専門トレーナーの相談先を選ぶポイント
相談先には、かかりつけの獣医師のほか、行動診療を専門とする獣医行動診療科、しつけの専門トレーナーなどが挙げられます。
体調面が心配なときは獣医師へ、行動面の悩みが中心のときは獣医行動診療科やトレーナーへというように、悩みの内容に応じて相談先を選んでみてください。
複数の視点からアドバイスをもらうことで、より安心して対応を進めていけるはずです!
ここまで、犬を叱ったあとに感じる罪悪感の理由から、直後の対応、犬の反応の受け止め方、気持ちの切り替え方、そして信頼関係を育てる工夫まで、順を追ってお伝えしてきました。
「犬に嫌われたかもしれない」という不安は、愛犬を大切に思う気持ちの裏返しであり、そのこと自体を責める必要はありません。
大切なのは、一度の出来事に囚われすぎず、日々の関わり方を少しずつ整えていくことです。
これからは、叱ったあとも慌てず、今日お伝えした行動を一つずつ実践してみてください!
