「うちの犬、留守番のたびに鳴いたり物を壊したりして心配……」

そんな悩みを抱え、もう1匹迎えれば寂しさが紛れて落ち着くのではと、多頭飼いという選択肢を考えている方も多いのではないでしょうか。

たしかに、犬は群れで暮らす動物なので、仲間がいることで気持ちが安定するケースもあります。しかし、多頭飼いにすれば必ず分離不安が解決するというわけではなく、むしろ悪化してしまうケースも少なくありません。

この記事では、犬の分離不安が多頭飼いで改善する理由と悪化するケースの両方を取り上げながら、家庭で実践できる効果的な解決法をお伝えしていきます。あわせて、新たに2匹目を迎える際に考えておきたいポイントについても触れていきますので、後悔のない選択をするための参考にしてみてください!

犬の分離不安は多頭飼いで解決する?まず知っておきたい基本知識

「多頭飼いにすれば分離不安が治る」というイメージを持っている方は多いですが、実際はそう単純ではありません。
まずは分離不安そのものの理解を深めながら、多頭飼いとの関係性について整理していきます。

犬の分離不安とは?主な症状をチェック

犬の分離不安とは、飼い主や家族など愛着のある対象と離れることに対して、過剰な不安や恐怖を感じてしまう状態のことです。

代表的な症状として、以下のようなものが挙げられます。

  • 留守番中に長時間鳴き続ける、または吠え続ける
  • 家具やドア、クッションなどを壊す破壊行動
  • 普段はできているのに留守番中だけ排泄を失敗する
  • 足や体を舐め続けて傷を作ってしまう自傷行為
  • 飼い主が外出する準備をするだけで震えたり吠えたりする

これらの行動は、犬がわざと困らせているわけではありません。なぜなら、不安やパニックといった精神的な負荷が原因で起きている反応だからです。

そのため、叱って行動だけをやめさせようとしても、根本的な解決には至りにくいといえます。むしろ「帰ってきたら怖いことが起きる」と学習してしまい、不安をさらに強めてしまう可能性もあるので注意が必要です。

多頭飼いで分離不安が改善するケース

結論として、多頭飼いによって分離不安が改善するケースは確かに存在します。

犬はもともと群れで生活する動物であり、社会的なつながりを必要とする性質の持ち主です。そのため、留守番中に仲間の犬が一緒にいることで、ひとりぼっちの寂しさが和らぎ、結果的に不安行動が落ち着く場合もあるでしょう。

例えば、留守番が5分も持たなかった犬が、多頭飼いを始めてから半日ほど平気で過ごせるようになったという声も実際に見られます。

また、犬同士で遊んだり寄り添ったりすることで気が紛れ、飼い主の不在そのものを意識しにくくなるのも、改善の一因と考えられるでしょう。

このように、相性のよい犬同士であれば、多頭飼いが分離不安の緩和につながる可能性は十分にあるといえるでしょう。

多頭飼いだけでは根本的な解決にならない理由

一方で、多頭飼いだけに頼った解決には限界があることも理解しておく必要があります。

なぜなら、分離不安の原因が「飼い主と離れること」への不安である場合、ほかの犬がそばにいても、その根本的な不安自体は解消されないからです。

つまり、犬によっては仲間がいても「自分が頼っているのは飼い主だけ」と感じ続けることがあり、その場合は同居の犬がいくら増えても分離不安が改善しないこともあります。

加えて、新しい犬の存在そのものがストレスになったり、先住犬との相性が合わなかったりすると、状況がかえって悪化することもあるので注意してみてください。

したがって、多頭飼いはあくまで分離不安対策の一つの選択肢であり、トレーニングや環境整備とあわせて検討すべき方法だといえます。

飼い主への依存と犬同士の依存は別問題である

ここで押さえておきたいのが、「飼い主への依存」と「犬同士の依存」はまったく別の問題だという点です。

飼い主への依存が強い犬は、ほかの犬が一緒にいても飼い主の存在を強く求める傾向があります。そのため、犬を増やしたからといって、飼い主への愛着そのものが薄れるわけではありません。

一方、犬同士の依存が強くなりすぎると、今度は「相棒の犬」と離れることに対して新たな不安が生まれてしまうこともあるので、注意してみてください。先住犬と後住犬を引き離した途端に、両方が鳴き出してしまうようなケースもこれに当たります。

このように、多頭飼いは分離不安を和らげる可能性と、新たな依存関係を生み出すリスクの両方を抱えているということを、頭に入れておいてみてください。

多頭飼いでも犬の分離不安が改善しない・悪化する原因

多頭飼いを始めたにもかかわらず、分離不安が改善しない、あるいは悪化してしまうケースも珍しくありません。
ここからは、その主な原因を一つずつ取り上げていきます。

飼い主への依存が強すぎる

最初に挙げられる原因は、犬の飼い主への依存が強すぎることでしょう。

分離不安は、性別や年齢にかかわらず、飼い主への依存度が高い犬ほど発症しやすいと考えられているからです。子犬の頃からずっと飼い主と一緒に過ごし、ひとりになる経験をしていない犬は、大人になっても不安行動が改善されないことがあります。

このタイプの犬は、ほかの犬が一緒にいても「自分を守ってくれる存在は飼い主だけ」と認識しているため、多頭飼いにしても安心感を得られにくいです。

そのため、まずは飼い主自身が「過剰に構いすぎない」ことを意識し、犬がひとりでも快適に過ごせる環境を整えていく必要があります。

犬同士で不安や吠えが連鎖している

次に注意したいのが、犬同士で不安や吠えが連鎖してしまうパターンです。

片方の犬に吠え癖や問題行動があると、もう一方の犬がそれをそのまま真似てしまうことがあります。犬はほかの犬からの影響を受けやすい動物なので、先住犬の行動パターンを後住犬が学習してしまうケースは少なくありません。

例えば、先住犬が留守番中に吠える習慣を持っていた場合、後から来た犬も同じように吠えるようになってしまうことがあります。

このような連鎖が起きると、1匹だけのときよりも問題行動が深刻化してしまうおそれもあるので、早めの対策が大切です。

先住犬と後住犬の相性が良くない

また、先住犬と後住犬の相性そのものが良くないというケースもよく見られます。

犬の性格はさまざまであり、人間同士と同じように、どうしても合わない組み合わせが存在するものです。相性が悪いと、小競り合いやケンカが頻発し、別々の空間に隔離せざるを得なくなる場合もあります。

このような状態では、犬同士が安心して同じ空間で過ごすことができず、結果的にストレスが増大してしまうでしょう。

留守番中も気を張った状態が続くため、むしろ1匹で過ごすよりも分離不安が強まってしまうこともあるので、相性の見極めは慎重に行ってみてください。

犬同士が過度に依存している

さらに、犬同士の関係が過度な依存に発展してしまっている場合も、分離不安の悪化につながります。

普段からずっと一緒に行動させていると、犬たちは「いつも仲間がそばにいる」という状態に慣れすぎてしまうものです。その結果、片方の犬だけが病院やトリミングなどで一時的に離れただけでも、残された犬が強い不安を見せることがあります。

このように、飼い主への依存が犬同士の依存にすり替わっただけで、分離不安そのものは解消されていないというケースも珍しくありません。

そのため、犬同士が常に一緒にいる状態をつくらないよう、意識的に距離をとる時間を設けることも大切なポイントです。

留守番環境が犬にとってストレスになっている

最後に見落とされがちなのが、留守番環境そのものが犬にとってストレスの原因になっているケースです。

犬を増やしたことで、ケージやベッド、トイレなどのスペースが手狭になり、犬たちが落ち着いて過ごせない環境になっている場合があります。また、頭数が増えたことで物音や気配が増し、犬同士の緊張感が高まってしまうこともあるでしょう。

加えて、留守番中の温度や音、光の刺激などが整っていないと、犬は1匹のときよりも不安を感じやすくなることもあるようです。

このような環境面の問題は、犬を増やす前に見落とされがちな部分なので、しっかり確認しておきましょう!

多頭飼い家庭でできる犬の分離不安の解決法5選

ここからは、多頭飼い家庭で実践できる分離不安への具体的な解決法を5つ取り上げていきます。
どれも今日から始められる方法なので、できそうなものからぜひ試してみてください。

1頭ずつ留守番のトレーニングを行う

先におすすめしたいのが、1頭ずつ留守番のトレーニングを行う方法です。

これは、犬同士の存在に頼らず、それぞれが単独でも安心して過ごせる力を身につけるためのトレーニングになります。

具体的には、飼い主が在宅している間に、1匹だけを別の部屋で短時間過ごさせることから始めてみてください。最初は数分程度にとどめ、犬がリラックスできている状態を保ちながら徐々に時間を延ばしていくのがポイントです。

このトレーニングを重ねることで、「ひとりでも飼い主は必ず戻ってくる」という安心感を犬自身が学習できるようになっていきます。1頭ずつしっかりと自立心を育てていくことが、分離不安改善の土台になるといえるでしょう。

外出時間を少しずつ延ばして慣らす

P:続いておすすめしたいのが、外出時間を少しずつ延ばして慣らしていく方法。

R:いきなり長時間の外出を行うと、犬にとって大きな負担となり、不安が強まってしまうことがあるからです。

E:具体的には、最初は数分の外出からスタートし、犬の様子を見ながら徐々に外出時間を延ばしていきます。30〜90分ほどひとりで過ごせるようになると、さらに長い留守番にも対応しやすくなることが多いようです。見守りカメラを活用すれば、留守中の様子を確認しながら段階を調整できるので、あわせて取り入れてみてください。

P:このように、無理のないペースで外出時間を延ばしていくことで、犬への負担を抑えながら確実に慣らしていくことができます。

留守番中に集中できるおもちゃを活用する

また、留守番中に犬が集中できるおもちゃを活用する方法も効果的です。

おもちゃに気を取られている時間が長いほど、飼い主の不在を意識する時間が短くなるため、不安行動の軽減につながりやすくなるでしょう。

例えば、フードを入れて少しずつ出てくる知育おもちゃなどは、犬の気を紛らわせるのに役立ちます。ただし、おもちゃをそのまま置いたままにすると、誤飲などのトラブルにつながる可能性もあるので注意が必要です。

そのため、留守番前に与えるおもちゃは、安全性が確認されたものを選ぶように心がけてみてください。

犬ごとに安心できるスペースを用意する

さらに、犬それぞれに安心できる専用スペースを用意することも、分離不安対策として有効です。

頭数が増えると、どうしてもスペースを共有しがちですが、犬ごとにケージやベッドを分けることで、それぞれが落ち着いて過ごせる場所を確保できるでしょう。

専用のスペースがあることで、犬同士が過度に密着しすぎる状況を避けられ、結果的に犬同士の依存を防ぐことにもつながります。

ケージやクレートは頭数分用意し、犬がひとりになりたいときに逃げ込める場所として機能させていきましょう。

外出時と帰宅時に過剰に構わないようにする

最後に意識してみてほしいのが、外出時と帰宅時に過剰に構わないようにすることです。

出かける前に大げさに声をかけたり、帰宅後にすぐ駆け寄って抱きしめたりすると、犬は「外出=特別な出来事」として強く意識してしまいます。

そのかわり、出かける際も帰ってきた際も、できるだけ普段と変わらないさりげない態度を心がけてみてください。犬が落ち着いているタイミングを見計らって声をかけることで、外出への過剰な反応を和らげていけるでしょう。

このひと工夫を続けるだけでも、犬が外出そのものを特別なイベントとして捉えにくくなっていきます。

多頭飼いで分離不安対策をするときの注意点

多頭飼いを通じて分離不安対策を行う際には、いくつか気をつけておきたい注意点があります。
ここからは、その代表的な5つのポイントを取り上げていきましょう。

先住犬を優先して接する

大切にしたいのは、先住犬を優先して接すること。

新しい犬を迎えると、どうしても新入りに気を取られがちですが、先住犬にしてみれば「自分への愛情が分散された」と感じてしまうことがあるものです。

このような不満は、吠えるなどわかりやすい形で表現される犬もいれば、じっと我慢してストレスを溜め込んでしまう犬もいます。

そのため、ご飯やお散歩、声かけの順番は先住犬からにするなど、先住犬の立場を尊重する姿勢を意識してみてください。

常に一緒に行動させない

また、犬同士を常に一緒に行動させないことも大切な注意点です。

散歩や食事、就寝などすべての場面を一緒にさせてしまうと、犬同士の依存が強まりすぎてしまう可能性があります。

例えば散歩は、犬同士で依存し合うことを避けるため、しつけの段階では1頭ずつ連れて行くケースも多いです。

このように、あえて別行動の時間をつくることで、犬それぞれの自立心を保ちながら多頭飼いを進めていけます。

1頭ずつ飼い主と過ごす時間を作る

さらに、1頭ずつ飼い主と過ごす時間を意識的に作ることもおすすめです。

多頭飼いになると、どうしても犬同士でまとめて構ってしまう場面が増えますが、それでは個々の犬と飼い主との信頼関係が薄れてしまうこともあります。

そこで、1日のうち少しの時間でも、1匹だけと向き合ってスキンシップを取ったり、トレーニングを行ったりする時間を設けてみてください。

このような積み重ねが、犬それぞれの安心感を育み、結果的に分離不安の予防にもつながっていきます。

叱って問題行動をやめさせようとしない

注意点として欠かせないのが、叱って問題行動をやめさせようとしないことです。

分離不安による破壊行動や排泄の失敗は、犬がわざとやっているわけではなく、不安やパニックが原因で起きています。そのため、叱ることで行動自体を止めようとしても、根本的な解決にはつながりません。

むしろ、帰宅後に叱られることで「帰ってきたら怖いことが起きる」と学習し、不安をさらに強めてしまう悪循環に陥ることもあります。

帰宅したときに家が荒れていても、ぐっとこらえて黙って片づけ、犬を責めないようにしましょう!

改善には数週間から数か月かかることを理解する

最後に理解しておきたいのが、分離不安の改善には数週間から数か月程度の時間がかかるということです。

トレーニングや環境調整をすぐに始めたとしても、犬の不安が一気に解消されるわけではありません。焦って結果を求めすぎると、飼い主自身のストレスが犬にも伝わってしまうおそれもあるでしょう。

そのため、短期的な変化だけで一喜一憂せず、長い目で愛犬の様子を見守っていく姿勢が求められます。

地道な積み重ねこそが、結果的に確実な改善への近道になるといえるでしょう。

こんな症状は要注意!獣医師やドッグトレーナーに相談すべきケース

家庭での対策を続けても改善が見られない場合や、症状が深刻な場合には、専門家への相談が必要になることもあるでしょう。
ここからは、特に注意してほしい5つのケースを取り上げていきます。

留守番中に自傷行為をしてしまう

まず注意したいのが、留守番中に自傷行為をしてしまうケースです。

足や体を舐め続けて傷を作ってしまうほどの行動が見られる場合、不安のレベルがかなり高い状態にあるといえるでしょう。

このような症状は、家庭での対策だけでは改善が難しいことも多いため、早めに獣医師へ相談することをおすすめします。

放置すると傷が悪化したり、行動がさらに深刻化したりするおそれもあるので、見過ごさないようにしてみてください。

破壊行動や吠えが非常に激しい

破壊行動や吠えが非常に激しい場合も、専門家への相談を検討するタイミングといえます。

家具やドアを激しく壊してしまうほどの行動や、長時間にわたって鳴き続ける状態は、犬自身にとっても大きな苦痛を伴うものです。

留守番中ずっと鳴き続けていたり、帰宅すると声が枯れていたりする場合は、ストレスがかなり強いと考えられます。

このようなケースでは、行動療法だけでなく、薬物療法を組み合わせた治療が検討されることもあるでしょう。

排泄の失敗が急に増えた

さらに、排泄の失敗が急に増えたという変化にも注意してみてください。

普段はトイレで問題なくできているのに、留守番中だけ失敗してしまう場合、分離不安が関係している可能性があります。

ただし、こうした症状は分離不安以外の病気が原因で起きていることもあるため、自己判断だけで決めつけないようにしましょう。

血液検査などで身体的な異常が見つからない場合でも、ストレスが引き金となっている不安障害の一種である可能性が考えられます。

トレーニングを続けても改善が見られない

そのほか、トレーニングを続けても改善が見られない場合も、専門家に相談すべきタイミングです。

家庭で1頭ずつの留守番練習や外出時間の調整を続けているにもかかわらず、症状に変化がない場合は、犬に合った方法を見直す必要があります。

このような状況では、ドッグトレーナーに相談することで、その犬の性格や環境に応じた具体的なアプローチを提案してもらえることもあるでしょう。

自己流での対策に限界を感じたときは、無理に続けず、プロの力を借りる選択肢も検討してみてください。

持病や高齢による不安が疑われる場合

最後に気をつけておきたいのが、持病や高齢による不安が疑われる場合です。

シニア犬になると、認知機能の低下や体の不調によって、これまでなかった不安行動が新たに現れることがあります。

このケースでは、分離不安というよりも、加齢に伴う認知症や病気が関係している可能性も考えられるでしょう。

そのため、急に様子が変わった場合は、まず獣医師による健康チェックを受けてみることをおすすめします。

2匹目を迎えれば分離不安は治る?新たに犬を迎える前に考えたいポイント

ここまで取り上げてきたように、多頭飼いは分離不安の改善につながる可能性もあれば、悪化につながる可能性もあるものです。
最後に、2匹目を迎える前に押さえておきたいポイントを整理していきます。

2匹目を迎えるメリット

2匹目を迎えることで期待できるメリットを、ここから確認していきましょう。

犬は本来群れで暮らす動物なので、仲間がいることで孤独感が大幅に軽減されるケースがあります。飼い主が外出している間も、一緒に遊んだり寄り添ったりすることで安心感を得られる犬も少なくないでしょう。

また、犬同士でじゃれ合うことで自然と運動量が増え、肥満予防や心身の健康維持にもつながりやすくなります。さらに、ほかの犬と触れ合う機会が増えることで、社会性が育まれるというメリットも期待できるでしょう。

このように、相性さえ良ければ、2匹目を迎えることは犬にとっても飼い主にとっても大きな喜びをもたらしてくれるでしょう。

2匹目を迎えるデメリット

一方で、2匹目を迎える際に考慮すべきデメリットも存在します。

最も分かりやすいのが、食費やワクチン代、医療費などの飼育コストが頭数分増えるという経済的な負担です。健康なときの費用は予測しやすいものの、病気になった場合の医療費は想定以上にかさむこともあるでしょう。

また、散歩や食事、トレーニングにかかる時間も増えるため、飼い主自身に十分な時間的余裕があることが前提となるでしょう。加えて、相性が合わない場合は、それぞれ別々に散歩へ行ったり、食事を分けて与えたりする工夫も必要になってきます。

そのほか、片方の犬に吠え癖や問題行動があると、もう一方にも連鎖してしまうリスクがある点も理解しておきましょう。

多頭飼いが向いている犬・向いていない犬の特徴

多頭飼いには、向いている犬と、あまり向いていない犬がいることも知っておいてみてください。

多頭飼いに向いているのは、ほかの犬との交流を好む犬や、社会性が高く新しい環境にも適応しやすい犬です。子犬の頃からほかの犬と触れ合う機会が多かった犬も、比較的スムーズに多頭飼いへ適応できる傾向があるでしょう。

一方、1頭で過ごすことを好む犬や、縄張り意識が強い犬、飼い主への独占欲が強い犬は、多頭飼いに向いていない場合があります。先住犬が甘えん坊で「飼い主を独り占めしたい」というタイプである場合は、特に慎重な判断が求められるでしょう。

迎える前には、できる範囲で事前に相性チェックの機会を設け、犬同士の反応を見ておくことをおすすめします。

「分離不安対策だけ」を目的に迎えるのは慎重に検討しよう

最後に強調しておきたいのが、「分離不安対策だけ」を目的に2匹目を迎えるのは慎重に検討すべきだという点。

なぜなら、分離不安の原因が飼い主への依存である場合、ほかの犬を迎えてもその不安自体が解消されるとは限らないからです。

それどころか、相性が合わなかった場合には、先住犬のストレスが増えたり、問題行動が連鎖したりして、状況が悪化することもあります。最悪のケースでは、どちらかの犬を手放さざるを得なくなることもあるため、安易な判断は避けたいところです。

2匹目を迎えるかどうかは、分離不安対策という一つの理由だけでなく、家族全員が新しい命を一生涯責任を持って育てられるかという視点から、じっくり考えてみてください。

まとめ

ここまで、犬の分離不安と多頭飼いの関係性について、改善するケースと悪化するケースの両面から取り上げてきました。

多頭飼いは、犬同士の存在によって寂しさが和らぎ、分離不安の緩和につながる可能性がある一方で、相性や依存度によっては悪化してしまうこともあります。つまり、多頭飼いだけに頼るのではなく、1頭ずつの留守番トレーニングや環境整備とあわせて取り組むことが、分離不安解決の近道といえるでしょう。

もし家庭での対策を続けても改善が見られない場合や、自傷行為・激しい破壊行動などの症状が見られる場合は、無理をせず早めに獣医師やドッグトレーナーへ相談してみてください。

愛犬が安心して留守番できる環境を整えていくことは、決して一筋縄ではいきません。しかし、焦らず一歩ずつ取り組んでいくことで、愛犬にとっても飼い主にとっても、より穏やかな毎日につながっていくはずです。