「うちの犬は、本当に自分を頼ってくれているのかな……」
愛犬との毎日を大切に過ごしているからこそ、ふとそんな疑問が浮かぶ飼い主も多いのではないでしょうか。
犬に好かれている実感はあっても、いざというときに頼ってもらえているかどうかは、実はまったく別の話です。
なぜなら、好かれることと頼られることでは、犬が飼い主に対して抱いている感情の中身が違うからです。
この記事では、犬に頼られる飼い主の特徴と、信頼関係を築くために今日から実践できる7つの習慣を紹介していきます。
あわせて、犬が見せる信頼のサインや関係を壊してしまうNG行動、そして頼られない原因への対処法も取り上げていきます。
愛犬との絆をもう一段深めるヒントとして、ぜひ最後まで確認してみてください!
犬に頼られる飼い主とは?好かれること・従わせることとの違い
まずは「犬に頼られる飼い主」がどういう存在なのか、その定義から整理していきます。
好かれることや従わせることとの違いを知ることで、目指すべき方向性がぐっと明確になります。
犬に頼られる飼い主は「安心して助けを求められる存在」
犬に頼られる飼い主とは、犬が不安や困難を感じたときに、迷わず助けを求められる存在のことです。
たとえば、雷が鳴ったときや知らない人が近づいてきたとき、真っ先に飼い主のそばへ来て安心しようとする姿は分かりやすい例です。
このような行動が見られる場合、犬は飼い主を「困ったときに頼れる相手」として認識していると考えられます。
犬に好かれることと信頼されることは同じではない
犬に好かれることと信頼されることは、似ているようで意味が異なります。
好かれるという感情は、おやつをもらえる、遊んでもらえるといった楽しい経験の積み重ねから生まれやすいものです。
一方で信頼は、困ったときや怖いときに飼い主がどう対応してくれるかという、より本質的な部分から育まれていきます。
つまり、遊びの時間が楽しいだけでは、頼られる関係にまでは至らないケースもあるということです。
力で従わせても犬から頼られる存在にはなれない
大きな声で叱ったり、力で押さえつけたりして犬を従わせようとする飼い主も、残念ながら少なくありません。
しかし、恐怖によって行動を止めさせているだけでは、犬にとって飼い主は「頼れる相手」ではなく「避けるべき相手」になってしまいます。
このため、一時的に言うことを聞かせられたとしても、根本的な信頼関係の構築にはつながりにくいといえます。
「飼い主がリーダーになる」の本当の意味
「飼い主がリーダーになるべき」という言葉を耳にしたことがある方も多いはずです。
この言葉が指しているのは、力で支配する存在ではなく、犬にとって予測しやすく安心できる存在になるということです。
言い換えれば、リーダーシップとは犬を従わせる力の強さではなく、犬が安心して判断を委ねられる一貫性のことを指します。
だからこそ、日々の接し方に一貫性を持たせることが何より大切になっていきます。
犬に頼られる存在になるために飼い主が実践したい7つのこと
ここからは、犬に頼られる存在になるために、飼い主が日常のなかで実践したい7つのことを紹介していきます。
どれも特別な道具や技術を必要としないものばかりなので、今日からすぐに取り入れてみてください!
犬の気持ちやボディランゲージを理解する
まず取り組みたいのが、犬の気持ちやボディランゲージを理解することです。
犬は言葉を話せない分、耳や尻尾の動き、姿勢などで自分の感情を表現しています。
たとえば、体を低くして耳を後ろに倒している場合は、不安や緊張を感じているサインの一つとされています。
このようなサインに早く気づける飼い主ほど、犬にとって「分かってくれる存在」として認識されやすくなります。
感情に左右されず一貫した態度で接する
次に意識したいのが、自分の感情に左右されず、一貫した態度で犬に接することです。
同じ行動をしたのに、機嫌によって褒められたり叱られたりすると、犬は何が正しいのか分からなくなってしまいます。
すると、飼い主の反応が予測できなくなり、安心して頼ることも難しくなっていきます。
そのため、その日の気分に関わらず、対応の基準はできる限りぶれさせないようにしてみてください。
犬にも分かりやすいルールと指示を伝える
また、犬にも分かりやすいルールと指示を伝えることも欠かせません。
たとえば「おすわり」の合図を毎回違う言葉で伝えていては、犬はどれが指示なのか理解できなくなってしまいます。
ルールや指示をシンプルにそろえておくと、犬は状況を判断しやすくなり、飼い主の言葉に安心して従えるようになります。
望ましい行動をした直後に褒める
そのうえで、望ましい行動をした直後に褒めることも大切なポイントです。
犬は「行動」と「その直後に起きたこと」を結びつけて学習する動物だからです。
そのため、時間が経ってから褒めても、犬にとってはどの行動が評価されたのか結びつきにくくなってしまいます。
良い行動が見られたら、そのタイミングを逃さずに褒めるよう意識してみてください。
怖がっているときは無理をさせず安全を守る
犬が何かに怖がっているときは、無理をさせずに安全を守ってあげることも重要です。
無理に近づけたり触らせたりすると、犬にとって飼い主が「怖い状況を作る存在」になりかねません。
むしろ、怖がる犬をそっと落ち着かせ、安全な距離を確保してあげることで、飼い主への信頼はより深まっていきます。
遊び・散歩・スキンシップの時間を大切にする
さらに、遊びや散歩、スキンシップの時間を日々大切にしていくことも欠かせません。
一緒に過ごす心地よい時間の積み重ねは、犬にとって飼い主への安心感や好意の土台になっていきます。
ただし、この時間だけで信頼関係のすべてが決まるわけではない点には注意が必要です。
犬が一人で安心して休める環境も整える
最後に見落とされがちなのが、犬が一人で安心して休める環境を整えることです。
常にべったりと関わり続けることが、必ずしも信頼につながるとは限りません。
むしろ、安心できる居場所があることで、犬は自分自身で気持ちを落ち着ける力も身につけていきます。
このように、適度な距離感も、頼られる関係づくりには欠かせない要素の一つです。
犬が飼い主を頼っているときに見せるサイン
ここまで紹介してきた習慣を実践していくと、犬はさまざまな形でサインを見せてくれるようになります。
続いては、犬が飼い主を頼っているときに見られる代表的なサインを紹介していきます。
不安な場面で飼い主の顔や反応を見る
知らない物音がしたときや、初めての場所に行ったときに、飼い主の顔をちらりと見る仕草はよくあるサインです。
これは「ソーシャル・レファレンシング」と呼ばれる行動で、飼い主の反応を参考にして状況を判断しようとしています。
つまり、飼い主の様子をうかがうこと自体が、頼りにしている証拠の一つといえます。
怖いときや困ったときに飼い主の近くへ来る
雷や来客など、犬にとってストレスになりやすい場面で、自分から飼い主のそばに来る行動もサインの一つです。
このとき無理に呼び寄せたわけではなく、犬自身が選んで近づいてきている点がポイントになります。
自分から体を寄せてリラックスする
飼い主のそばで体を寄せ、リラックスした様子を見せることも、信頼のサインとして分かりやすい例です。
筋肉の緊張がなく、呼吸もゆったりしている場合は、心から安心している状態と考えられます。
飼い主の呼びかけや指示に穏やかに反応する
名前を呼んだときや指示を出したときに、耳を向けたり尻尾を振ったりして穏やかに反応するのも良いサインです。
びくつく様子や過度な警戒がなければ、飼い主の声かけを安心して受け止められている状態だといえます。
飼い主から離れていても安心して過ごせる
一見意外に思えるかもしれませんが、飼い主から少し離れていても落ち着いて過ごせることも、信頼のサインです。
なぜなら、常に不安な様子でそばを離れられない状態は、信頼というより不安の表れである場合が多いからです。
安心して待てるということは、それだけ飼い主との関係に安定感がある証拠だと考えられます。
お腹を見せる・後をついてくるだけでは判断できない
お腹を見せる仕草や後をついてくる行動だけを見て、頼られていると判断するのは早計です。
お腹を見せる行動は服従や警戒の表れであることもあり、必ずしも信頼だけを意味するわけではありません。
そのため、一つの行動だけでなく、複数のサインを組み合わせて総合的に見ていくことをオススメします。
犬との信頼関係を壊してしまう飼い主のNG行動
信頼関係は、日々の小さな積み重ねで育つ一方、たった一つの行動で崩れてしまうこともあります。
ここからは、犬との信頼関係を壊してしまいがちな飼い主のNG行動を紹介していきます。
気分によって叱る基準やルールを変える
その日の気分によって叱る基準やルールを変えてしまうことは、代表的なNG行動の一つです。
基準がぶれると、犬は何をすれば良いのか予測できなくなり、飼い主への不安が募っていきます。
大声・体罰・威圧によって従わせようとする
大声を出したり体罰を与えたりして、力で従わせようとする行動も避けたいところです。
一時的に行動を止められたとしても、犬の中には恐怖の記憶だけが残ってしまいます。
嫌がる犬を追いかけたり無理に触ったりする
犬が嫌がって逃げているのに追いかけたり、無理に触ろうとしたりする行動もNGです。
このような対応を続けると、犬にとって飼い主は「逃げても追ってくる存在」になってしまいます。
怖がっているものへ無理やり近づける
犬が怖がっているものに対して、無理やり近づけて慣れさせようとするのも避けたい行動です。
かえって恐怖心を強めてしまい、その場面ごと飼い主への不信感につながるおそれがあります。
犬を驚かせて反応を楽しむ
面白半分で犬を驚かせ、その反応を楽しむような行動も信頼を損なう原因になります。
予測できない驚かせ方が続くと、犬は飼い主のそばにいること自体を警戒するようになっていきます。
失敗してから時間がたった後に叱る
失敗した瞬間ではなく、時間が経ってから叱ることもよくあるNG行動の一つです。
先述のとおり、犬は行動とその直後の出来事を結びつけて学習するため、後から叱られても理由が伝わりません。
家族によって指示や対応が異なる
家族の中で指示や対応の仕方がバラバラになっているケースも、意外と見落とされがちです。
人によって言うことが違うと、犬は誰の指示に従えば良いのか混乱し、安定した信頼関係が築きにくくなります。
犬が自分を頼ってくれない原因と関係を改善する方法
これまでの内容を実践しても、なかなか頼ってもらえないと感じることもあるかもしれません。
続いては、犬が自分を頼ってくれない主な原因と、関係を改善するための具体的な方法を紹介していきます。
犬の性格や過去の経験によって慣れるまで時間がかかる
犬の性格や過去の経験によっては、信頼関係が築かれるまでに時間がかかる場合があります。
特に、保護犬など過去につらい経験をしている犬は、慎重に少しずつ距離を縮めていく必要があります。
焦らず犬のペースに合わせていくことが、結果的に近道になるケースも少なくありません。
飼い主の反応を予測できず不安を感じている
飼い主の反応が読めないことで、犬が常に不安を感じている可能性も考えられます。
この場合は、対応の一貫性を意識するだけでも、犬の安心感が徐々に高まっていきます。
犬が嫌がるサインを見落としている
知らず知らずのうちに、犬が発している嫌がるサインを見落としているケースもあります。
体を硬くする、視線をそらすといった小さな変化にも気を配ってみてください。
遊びや運動など必要なコミュニケーションが不足している
遊びや散歩といった日々のコミュニケーションが不足していることも、原因の一つとして挙げられます。
十分な運動や関わりの時間を確保できているか、日課を振り返ってみることをオススメします。
ほかの家族のほうが安心できる対応をしている
自分よりも、ほかの家族のほうが穏やかで一貫した対応をしている場合、犬はそちらを頼りやすくなります。
このケースでは、家族内で接し方の基準をそろえていくことが改善のポイントになります。
急な行動変化では痛みや病気の可能性も考える
これまで頼ってきたはずなのに急に距離を置くようになった場合は、痛みや病気の可能性も視野に入れてみてください。
体調不良によって触られることを避けたり、隠れたりする行動が見られることもあるためです。
関係が改善しないときは獣医師や専門家へ相談する
さまざまな対策を試しても関係が改善しない場合は、獣医師やドッグトレーナーなどの専門家へ相談してみてください。
専門家に相談することで、その犬に合った具体的なアドバイスをもらえる可能性があります。
犬に頼られることと依存されることの違い|健全な関係を築くポイント
最後に、頼られることと依存されることの違いを整理し、健全な関係を築くためのポイントを紹介していきます。
一見似ているこの二つですが、犬の心の状態としては大きく異なるものです。
頼られる犬は必要なときに飼い主へ助けを求める
頼られる関係にある犬は、普段は落ち着いて過ごし、必要なときにだけ飼い主へ助けを求める傾向があります。
つまり、常に頼っているわけではなく、状況に応じて頼る先を選べている状態だといえます。
依存が強い犬は飼い主と離れるだけで不安になる
一方、依存が強い犬は、飼い主と離れるというだけで強い不安を感じてしまうことがあります。
このような状態は「分離不安」と呼ばれ、留守番のたびに過度なストレスを抱えてしまうケースも見られます。
常に後をついてくる行動は信頼だけが理由とは限らない
家の中で常に後をついてくる行動も、信頼だけが理由とは限らない点に注意が必要です。
不安からくる行動である場合も多いため、単純に「懐いている」とは判断しきれません。
一人でも安心して過ごせる力を育てる
健全な関係を築くうえでは、犬が一人でも安心して過ごせる力を育てていくことも欠かせません。
短時間の留守番から少しずつ慣らしていくことで、過度な依存を防ぎやすくなります。
愛犬を守りながら自分で考える機会も与える
愛犬を守ることと、自分で考える機会を与えることは、決して矛盾するものではありません。
すべてを先回りして手助けするのではなく、犬自身が状況を判断する場面も意識的に残してみてください。
信頼と自立を両立できる関係を目指す
このように、犬に頼られる関係とは、依存させることとは異なり、信頼と自立が両立した状態を指します。
だからこそ、日々の接し方を少しずつ見直していくことで、より健やかな関係に近づいていきます。
ここまで、犬に頼られる飼い主の特徴と、そのために実践したい7つの習慣を紹介してきました。
犬に頼られる存在になるためには、一貫した態度で接し、犬の気持ちに寄り添いながら、安心できる関係を築いていくことが何より大切です。
今日からできることも多いので、まずは一つずつ、愛犬との関わり方を見直してみてください。
焦らず少しずつ積み重ねていくことで、きっと愛犬にとってかけがえのない存在になれるはずです!
