「今日から犬と別室で寝てみたいけど、夜鳴きしないか心配……」
そんな不安を抱えながら、犬との寝床の分け方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
犬と別室で寝ることは、犬の自立心を育てたり、飼い主自身の睡眠の質を高めたりするうえで大きなメリットがあります。一方で、急に寝床を変えてしまうと、不安からくる夜鳴きや後追いにつながりやすいという側面も。
この記事では、犬と別室で寝るための段階的な移行方法を7つのステップに分けてご紹介していきます。あわせて、夜鳴きしてしまったときの正しい対応や、犬の年齢・性格別の注意点もお伝えしていきますので、最後まで読んでみてください!
犬と別室で寝るときは急に離さず段階的に移行しよう
犬と別室で寝る移行は、一気に進めるのではなく、少しずつ距離を広げていくことが何よりも大切です。ここではまず、段階的に進めるべき理由についてお伝えしていきます。
犬を突然別室へ移すと不安や夜鳴きにつながりやすい
犬をある日突然、別室へ移してしまうと、強い不安や夜鳴きにつながりやすくなります。なぜなら、犬にとって飼い主のそばで眠ることは、安心できる縄張りの一部だからです。
そのため、いきなり扉を閉めて距離を取ると、犬は「置いていかれた」と感じてしまうことも。結果として、夜通し鳴き続けたり、ドアを引っかいたりする行動につながります。
別室で寝ることは愛情不足ではない
犬と別室で寝ることに罪悪感を覚える飼い主の方も少なくありません。しかし、別室で寝ることは、決して愛情不足を意味するものではないのです。
むしろ、犬自身が一人でも安心して過ごせる力を身につけることは、留守番や災害時など、いざというときの安定にもつながります。日中にたっぷり触れ合う時間を確保できていれば、寝室を分けても信頼関係は十分に保たれます。
犬が落ち着いてから次の段階へ進む
移行を進めるうえで意識したいのが「犬が落ち着いてから次の段階へ進む」という原則です。焦って先へ進めると、それまでの練習が振り出しに戻ってしまうことも。
そこで、各ステップでは数日から1週間ほど様子を見て、犬が穏やかに眠れるようになってから次に移ってみてください。
移行にかかる期間は犬によって異なる
移行にかかる期間は、犬種や年齢、性格によって大きく異なります。人懐っこく適応力の高い犬なら1週間ほどで慣れる場合もありますが、慎重な性格の犬では1か月以上かかることも珍しくありません。
そのため、周りの成功例とスケジュールを比べすぎず、目の前の愛犬のペースに合わせて進めていきましょう!
犬と別室で寝るための具体的な移行方法7ステップ
ここからは、犬と別室で寝るための移行方法を、7つのステップに分けて具体的にご紹介していきます。順番通りに進めることで、無理なく別室睡眠に慣れさせることができます。
ステップ1|犬専用のベッドやクレートを用意する
まず取り組みたいのが、犬専用のベッドやクレートの準備です。落ち着けるサイズと素材のものを選ぶことで、犬にとって「自分だけの安心できる場所」という認識が生まれます。
クレートを使う場合は、扉を開けたままにしておき、閉じ込める道具だと思われないように配慮してみてください。
ステップ2|昼間に寝床で落ち着く練習をする
次に、夜を待たず、昼間の時間帯に寝床で落ち着く練習をしていきます。おやつを与えながら寝床に誘導し、そこにいると良いことがあると覚えてもらうのがポイントです。
短時間から始め、少しずつ滞在時間を延ばしてみてください。
ステップ3|飼い主のベッドではなく同室の犬用寝床で寝かせる
これまで飼い主のベッドで一緒に寝ていた場合は、まず同じ部屋の中で、犬専用の寝床に移してみましょう。部屋は変えず、寝る位置だけを変えるイメージです。
この段階で犬が落ち着いて眠れるようになれば、次のステップへ進む準備が整ったといえます。
ステップ4|犬の寝床を少しずつ寝室の入口へ移動する
同室での睡眠に慣れてきたら、犬の寝床を数日おきに少しずつ寝室の入口方向へ移動していきます。急に大きく動かすのではなく、数十cm単位で進めるのがコツです。
もし犬が落ち着きをなくすようであれば、無理に進めず前の位置に戻してみてください。
ステップ5|ドアを開けたまま寝室の外で寝かせる
寝床が入口付近まで来たら、いよいよ寝室のドアを開けたまま、寝室の外に寝床を移してみます。飼い主の気配や声が届く状態を保つことで、犬の不安を和らげられます。
この段階では、廊下やリビングなど、飼い主から離れすぎない場所を選ぶことが大切です。
ステップ6|別室へ移して飼い主の気配がある状態に慣らす
次に、犬の寝床を完全に別室へ移していきます。ただし、はじめのうちはドアを少し開けておき、物音や匂いが伝わる状態を維持してみてください。
このとき、飼い主のにおいがついたタオルなどを寝床に置いておくと、犬の安心感につながります。
ステップ7|犬が落ち着いたらドアを閉めて眠る
別室での睡眠に犬が慣れ、夜通し落ち着いて眠れるようになったら、最後にドアを閉めて眠る段階に進みます。
ここまで来れば、犬と別室で寝るという移行はほぼ完了です!ただし、閉めた直後は数日間、様子を見ながら進めてみてください。
7日〜14日で移行するモデルスケジュール
移行の目安として、7日〜14日ほどのモデルスケジュールを組んでみるのもおすすめです。1〜2日目は同室での寝床づくり、3〜5日目は寝床の位置移動、6〜10日目は寝室の外への移動、11〜14日目はドアを閉める練習、というように区切ると進めやすくなります。
ただし、これはあくまで目安であるため、犬の反応を見ながら柔軟に調整してみてください。
犬が安心して眠れる別室の環境を整える方法
移行をスムーズに進めるためには、別室そのものの環境づくりも欠かせません。ここでは、犬が安心して眠れる環境の整え方についてお伝えしていきます。
静かで人の出入りが少ない場所を選ぶ
別室として選ぶ場所は、人の出入りが少なく、静かな環境であることが望ましいです。テレビの音や生活音が絶えず聞こえる場所では、犬が落ち着いて眠りづらくなってしまいます。
できれば、廊下やリビングの一角など、飼い主の気配は感じつつも騒がしくない場所を選んでみてください。
クレート・ケージ・犬用ベッドを犬に合わせて選ぶ
寝床の種類は、クレート、ケージ、犬用ベッドなど、犬の性格に合わせて選んでみましょう。閉じられた空間で安心する犬にはクレートが向いていますし、開放的な場所を好む犬にはベッドタイプが合うことも。
体格に対してあまりに狭い、または広すぎるサイズは避け、体をゆったり伸ばせる程度のサイズを選んでみてください。
飼い主のにおいが付いた毛布やタオルを置く
寝床には、飼い主のにおいが付いた毛布やタオルを一枚置いておくのがおすすめです。犬にとって、におい情報は視覚以上に安心材料となるからです。
洗濯したばかりの真新しいものよりも、少し着用した衣類のほうが効果を発揮しやすい傾向にあります。
室温・湿度・明るさを快適に保つ
別室の室温や湿度、明るさも、犬の睡眠の質を左右する要素です。夏場は熱がこもりやすい部屋を避け、冬場は冷え込みすぎないよう暖房器具の使用も検討してみてください。
また、真っ暗すぎる部屋よりも、ほのかな明かりが差し込む程度のほうが、犬にとって落ち着きやすい場合もあります。
就寝前に散歩・排泄・水分補給を済ませる
就寝前には、散歩・排泄・水分補給をひととおり済ませておくことが大切です。これらが不十分だと、夜中に目が覚めて要求鳴きにつながりやすくなるからです。
寝る直前の散歩で軽く体を疲れさせておくと、寝つきが良くなるケースも多く見られます。
水やトイレを置くかは年齢と生活習慣で判断する
寝床に水皿やトイレを置くかどうかは、犬の年齢や生活習慣によって判断が分かれます。子犬やシニア犬は夜間にトイレへ行きたくなることが多いため、寝床の近くに設置しておくと安心です。
一方、成犬で排泄コントロールができている場合は、無理に置く必要はありません。
ペットカメラで寝ている様子を確認する
移行期間中は、ペットカメラを設置して、寝ている様子を確認できるようにしておくと安心です。夜鳴きの原因を探ったり、落ち着いて眠れているかを客観的にチェックしたりできます。
アプリを通じてスマートフォンから声かけができる機種を選ぶと、離れていても安心感を与えやすくなります。
別室に移した犬が夜鳴きするときの原因と正しい対応
移行の途中で犬が夜鳴きしてしまうことは、決して珍しいことではありません。ここでは、夜鳴きの原因と、それぞれに合った正しい対応についてお話ししていきます。
まず排泄・体調不良・暑さや寒さを確認する
犬が夜鳴きを始めたら、まずは排泄・体調不良・室温の問題がないかを確認してみてください。単純な生理的欲求が原因であれば、対応することですぐに落ち着くことも多いからです。
体調不良が疑われる場合は、無理に移行を続けず、様子を優先して見てみましょう!
要求鳴きには鳴いている最中に応じない
生理的な問題がなく、単なる要求鳴きだと判断できる場合は、鳴いている最中に応じないことが基本です。なぜなら、鳴けば構ってもらえると学習させてしまうと、夜鳴きが習慣化しやすくなるからです。
心を鬼にする場面ではありますが、ここで一貫した対応を取ることが、長い目で見て犬のためになります。
静かになったタイミングで褒める
鳴き止んで静かになったタイミングを見計らい、声をかけたり褒めたりしてみてください。「静かにしていると良いことがある」という経験を積み重ねることで、犬は落ち着く行動を選びやすくなります。
タイミングがずれると逆効果になりかねないため、静かになった瞬間を見逃さないようにしましょう。
不安が強い場合は前の段階に戻す
対応しても夜鳴きが収まらず、不安の強さがうかがえる場合は、無理に先へ進めず、前の段階に戻してみることも選択肢の一つです。
一段階戻すことは失敗ではなく、犬のペースに合わせるための大切な調整といえます。
近所迷惑を防ぐために昼間から練習する
夜間の鳴き声は近所迷惑につながりやすいため、可能であれば昼間のうちから離れて過ごす練習をしておくのがおすすめです。日中に少しずつ距離を取る経験を積んでおくと、夜間の不安も和らぎやすくなります。
集合住宅にお住まいの場合は、特にこの練習を丁寧に行ってみてください。
夜鳴きを叱ったりケージを罰に使ったりしない
夜鳴きしたからといって、大声で叱ったり、ケージを罰として使ったりするのは避けてみてください。叱られる場所や体験と結びついてしまうと、寝床自体を嫌がるようになってしまうからです。
感情的にならず、淡々とした態度で接することを意識してみましょう。
長時間鳴き続ける場合は分離不安も疑う
対応を続けても長時間鳴き続ける場合は、単なる寂しさではなく、分離不安の可能性も疑ってみてください。分離不安が強いケースでは、自己流の対応だけでは改善が難しいことも。
症状が続くようであれば、獣医師やドッグトレーナーへ相談することも検討してみてください。
移行を進めてよいサインと一段階戻すべきサイン
移行をスムーズに進めるためには、犬が発するサインを見極めることが欠かせません。ここでは、次に進んでよいサインと、一段階戻すべきサインについて整理していきます。
自分から寝床へ入り落ち着けるなら次へ進んでよい
犬が自分から寝床へ入り、リラックスした様子で過ごせているなら、次の段階へ進んでよいサインといえます。誘導しなくても寝床を選ぶようになれば、その場所への安心感が育っている証拠です。
この状態を数日確認できたら、自信を持って次のステップに移ってみてください。
飼い主が離れても伏せて休めるか確認する
飼い主がその場を離れても、犬が伏せの姿勢で休めているかどうかも重要な確認ポイントです。落ち着きなく後を追い続ける様子が見られる場合は、まだ距離を広げる準備が整っていない可能性があります。
逆に、離れてもリラックスして過ごせているなら、順調に移行が進んでいるといえるでしょう。
夜鳴きや後追いが減っているか確認する
移行を続けるなかで、夜鳴きや後追いの頻度が減ってきているかどうかも、判断材料の一つになります。日を追うごとに落ち着く時間が長くなっていれば、無理なく次の段階へ進める状態と考えられます。
逆に頻度が増えている場合は、進め方が速すぎる可能性があるため注意してみてください。
激しくドアを引っかく場合は一段階戻す
ドアを激しく引っかいたり、体当たりするような様子が見られたりする場合は、一段階戻すことをおすすめします。この行動は、強い不安やパニックのサインであることが多いからです。
無理に進めるよりも、犬が安心できる距離まで戻すほうが、結果的に移行がスムーズに進みます。
パンティング・よだれ・破壊行動は強い不安のサイン
パンティング(荒い呼吸)、大量のよだれ、家具や寝床の破壊行動などは、いずれも強い不安を示すサインです。これらが見られる場合、移行のスピードが犬のキャパシティを超えている可能性があります。
該当する様子が見られたら、いったん立ち止まり、環境や進め方を見直してみてください。
おやつも食べられない状態では移行を進めない
寝床の中や別室で、大好きなおやつすら口にできない状態であれば、まだ移行を進めるタイミングではありません。おやつを食べられないほどの緊張状態にあるということは、その場所自体にストレスを感じている証拠だからです。
まずはおやつを美味しく食べられる状態を目指し、それから次の段階を検討してみてください。
失敗しても元の段階からやり直せばよい
移行の途中でうまくいかなかったとしても、落ち込む必要は全くありません。元の段階に戻り、そこから改めてやり直せば十分だからです。
犬によって進むペースはさまざまなので、焦らず気長に取り組んでみてください。
子犬・成犬・老犬など犬の年齢や性格に合わせた移行の注意点
犬と別室で寝る移行方法は、年齢や性格によって注意すべきポイントが変わってきます。ここでは、タイプ別の注意点についてご紹介していきます。
子犬は排泄間隔と体調管理を優先する
子犬期は排泄の間隔が短く、体調も崩しやすい時期です。そのため、別室移行よりも、まずは排泄間隔の把握と体調管理を優先してみてください。
ある程度トイレの間隔が安定し、生活リズムが整ってきてから、別室移行の練習を始めるとスムーズです。
成犬はこれまでの習慣を少しずつ変える
すでに生活習慣が確立している成犬の場合、これまでの寝る場所を急に変えると戸惑いが大きくなりがちです。少しずつ環境を変化させ、変化そのものに慣れさせていくことがポイントになります。
子犬期に比べると時間がかかることも多いため、余裕を持ったスケジュールを組んでみてください。
長年一緒に寝てきた犬は移行期間を長めに取る
何年も飼い主と同じベッドで寝てきた犬にとって、寝床の変更は大きな生活の変化にあたります。そのため、一般的なモデルスケジュールよりも移行期間を長めに設定するのがおすすめです。
数週間から数か月かけて、じっくり慣らしていく姿勢を大切にしてみてください。
老犬は夜間の体調変化や認知機能の低下に注意する
シニア期に入った犬は、夜間の体調変化や認知機能の低下が起こりやすくなります。夜鳴きが単なる不安ではなく、痛みや認知症の初期症状である可能性も考えられるからです。
普段と様子が違うと感じた場合は、移行を優先せず、まず動物病院で状態を確認してみてください。
保護犬や怖がりな犬には安心できる場所を先に作る
保護犬や、もともと怖がりな性格の犬に対しては、移行を始める前に「安心できる場所」を先に作ってあげることが大切です。安心基地となる場所があるかどうかで、別室への適応スピードは大きく変わります。
時間をかけて信頼関係を築きながら、少しずつステップを進めてみてください。
甘えん坊な犬は日中からひとりで過ごす練習をする
甘えん坊な性格の犬は、夜間だけでなく日中からひとりで過ごす練習を重ねておくと効果的です。短時間の留守番や、別の部屋で過ごす経験を積むことで、夜間の別室にも適応しやすくなります。
日中の練習を怠ると、夜だけ距離を取ろうとしてもうまくいかないケースが多く見られます。
多頭飼いでは犬同士の相性と寝床の距離を調整する
複数の犬を飼っている家庭では、犬同士の相性を踏まえたうえで、寝床の距離を調整する必要があります。仲の良い犬同士なら同室にまとめることで安心感が高まる一方、相性が悪い場合は無理に近づけないほうが良いことも。
それぞれの犬の性格を観察しながら、最適な組み合わせを見つけてみてください。
強い不安や異常行動が続く場合は獣医師へ相談する
さまざまな工夫を試しても強い不安や異常行動が続く場合は、自己判断で対応を続けず、獣医師へ相談してみてください。分離不安症など、専門的なケアが必要なケースも考えられるからです。
プロの視点を借りることで、犬にとっても飼い主にとっても、無理のない移行方法が見えてくるはずです!
まとめ
犬と別室で寝るためには、寝床の位置を少しずつ移動させながら、犬の様子を見て進める段階的な移行が欠かせません。専用の寝床づくりから始め、同室、寝室の外、そして別室へと、7つのステップを踏むことで、夜鳴きのリスクを抑えながら無理なく慣らしていくことができます。
もし途中で夜鳴きが出たり、不安の強いサインが見られたりした場合は、焦らず一段階前に戻ることも大切な選択です。子犬・成犬・老犬など、犬のタイプによって注意すべきポイントも異なるため、目の前の愛犬の様子をよく観察しながら進めてみてください。
無理のないペースで取り組めば、犬にとっても飼い主にとっても、心地よい距離感が見つかるはずです。ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、愛犬との新しい睡眠スタイルを築いていってみてください!
