「テレワークが終わって出社が増えたら、うちの犬が急に落ち着かなくなった気がする……」
そんな変化に戸惑っている飼い主さんも多いのではないでしょうか。

在宅勤務中はずっとそばにいられたぶん、出社再開後の留守番に犬がストレスを感じ、分離不安の症状が出てしまうケースは少なくありません。

この記事では、テレワーク終了によって犬の分離不安が悪化する理由と、出社前から始められる具体的な対策を留守番のコツとあわせてお伝えしていきます。合わせて、自宅での改善が難しい場合に専門家へ相談する目安も取り上げるので、愛犬との暮らしを見直すきっかけにしてみてください!

テレワーク終了で犬の分離不安が起こりやすくなる理由

ここでは、テレワークの終了がなぜ犬の分離不安につながりやすいのか、その背景から順に見ていきます。すでに愛犬の様子に変化を感じている方は、まず原因を知ることから始めてみてください。

テレワーク中の生活が犬に与える影響

テレワークが始まると、飼い主が1日中家にいる生活が犬にとっての「当たり前」になります。

散歩やスキンシップの回数が増え、犬は常に飼い主のそばで過ごせる環境に慣れていきます。そのため、ひとりで過ごす時間そのものが徐々に減っていくのです。

また、物音や気配で飼い主の存在をいつでも感じられるため、留守番に対する耐性が知らないうちに弱くなっていることもあります。

出社再開によって犬が感じるストレスとは

出社が再開すると、犬にとっては生活リズムが急に変わる大きな出来事になります。

それまで一緒にいた時間が突然なくなるため、犬は「なぜ急にひとりになったのか」を理解できず、強い不安を感じやすくなります。さらに、外出前後の物音や飼い主の表情の変化にも敏感になり、そわそわした様子を見せる犬も少なくありません。

こうした変化の積み重ねが、分離不安のきっかけになっていきます。

すべての犬が分離不安になるわけではない理由

テレワークが終わったからといって、すべての犬が分離不安になるわけではありません。

犬種の性格や個体差、そしてそれまでの留守番経験によって、ストレスの感じ方は大きく異なるからです。もともとひとり時間に慣れている犬や、留守番に対してポジティブな経験を積んできた犬は、環境が変わっても比較的落ち着いて過ごせる傾向があります。

一方で、常に誰かと一緒にいることに慣れきってしまった犬ほど、環境の変化による影響を受けやすいといえるでしょう。

テレワーク終了後に見られる犬の分離不安のサイン

続いて、分離不安のサインとして代表的な行動を取り上げていきます。愛犬に当てはまるものがないか、チェックしながら読んでみてください。

外出時に吠え続けたり鳴き続けたりする

飼い主が外出した直後から吠え続けたり、長時間鳴き続けたりするのは、分離不安の代表的なサインです。

これは「置いていかれた」という不安や恐怖を、犬なりに全身で表現している状態だと考えられます。近隣からの苦情で気づくケースも多く、飼い主自身が症状に気づきにくい点も特徴です。

家具を壊す・粗相をするなどの問題行動が増える

ソファや家具をかじる、決まった場所以外で粗相をするといった行動も、分離不安のサインとして見られます。

不安や退屈を紛らわせようとして、犬なりの行動に出てしまうのです。しつけの問題だと誤解されやすいものの、実際には精神的なストレスが背景にあることも珍しくありません。

飼い主の外出準備に過敏に反応する

カバンを持つ、靴を履くといった外出前の一連の動作に対して、過剰に反応する犬もいます。

足元にまとわりついたり、そわそわと落ち着きなく動き回ったりする様子が見られたら要注意です。犬は日々の行動パターンを敏感に記憶しているため、「この動作の後にひとりになる」ということを学習してしまっているのかもしれません。

食欲不振や体調不良が見られる場合もある

分離不安が強くなると、留守番中や留守番後に食欲が落ちたり、体調を崩したりすることもあります。

下痢や嘔吐、よだれの増加などの症状につながるケースもあるため、行動面だけでなく体調の変化にも目を向けてみてください。長引く場合は、後述する動物病院への相談も検討する必要があります。

テレワーク終了前から始めたい犬の分離不安対策

ここからは、出社再開に備えて今日からできる具体的な対策をお伝えしていきます。急に環境を変えるのではなく、段階を踏んで慣らしていくことがポイントです。

在宅中からひとりで過ごす時間を少しずつ増やす

まずおすすめしたいのが、在宅勤務中から意識的にひとり時間をつくることです。

同じ部屋にいても、あえて構わない時間帯を設けたり、別室で過ごしてもらったりすることで、犬は「そばにいなくても大丈夫」という感覚を少しずつ学んでいきます。実際、こうした慣らしを続けている犬は、急な環境変化にも比較的スムーズに適応しやすいといわれています。

このように、日常の中でひとり時間に慣れさせておくことが、出社再開後のスムーズな移行につながります。

短時間の留守番から段階的に慣らす

次に取り組みたいのが、実際の外出を伴う留守番トレーニングです。

最初は5分、10分といった短い時間から始め、犬が落ち着いて過ごせているようであれば、少しずつ時間を延ばしていってみてください。焦って一気に長時間の留守番に挑戦すると、かえって不安を強めてしまう可能性があります。

留守番前に散歩や遊びで十分にエネルギーを発散させる

留守番の前に体を動かしておくことも、分離不安対策として効果的です。

散歩や遊びで適度に疲れさせておくと、犬は留守番中に休息モードに入りやすくなります。反対に、エネルギーが有り余った状態で留守番をさせると、不安や退屈が問題行動として表に出やすくなってしまいます。

安心して過ごせる留守番環境を整える

クレートやケージ、お気に入りの毛布などを使い、犬が安心できる居場所を用意しておきましょう。

視界に飼い主の匂いがついたものがあるだけでも、犬の不安は和らぐことがあります。また、カーテンで外の刺激を遮ったり、テレビやラジオの音でひとりの静けさを紛らわせたりする工夫も取り入れてみてください。

出社日が近づいたら生活リズムを勤務日に合わせる

出社再開の直前になったら、起床時間や散歩の時間を実際の勤務日に近づけていきます。

生活リズムを事前に整えておくことで、犬にとっても急激な変化を感じにくくなります。ちなみに、食事の時間も合わせて調整しておくと、体内リズムの乱れをより防ぎやすくなるでしょう。

テレワーク終了後にやってはいけないNG対応

ここでは、良かれと思ってやりがちなNG対応についてお伝えしていきます。分離不安を悪化させないためにも、ぜひチェックしてみてください。

外出や帰宅時に過度に構う

出かける前や帰宅した直後に、大げさに声をかけたり抱きしめたりするのは避けたい対応です。

「外出」や「帰宅」という行動そのものを特別なイベントとして印象づけてしまい、結果的に留守番への意識を強めてしまうからです。外出時も帰宅時も、できるだけ淡々と接することを心がけてみてください。

不安そうだからと常に一緒に過ごしてしまう

不安がる姿を見ていると、つい常にそばについていたくなるものです。

ただし、四六時中一緒に過ごしてしまうと、ひとり時間への耐性がいつまでも育ちません。かわいそうだと感じても、少しずつ距離をとる時間を意識的につくることが、長い目で見た改善につながります。

問題行動を強く叱る

家具を壊されたり粗相をされたりすると、つい強く叱りたくなる気持ちも分かります。

しかし、分離不安による問題行動を叱ってしまうと、不安がさらに増して悪循環に陥りやすくなります。まずは原因が不安によるものだと理解したうえで、環境の見直しから対応していくことが大切です。

急に長時間留守番をさせる

準備が整わないまま、いきなり長時間の留守番をさせるのもNG対応のひとつです。

段階を踏まずに一気に環境を変えると、犬は強いストレスを感じてしまいます。出社初日からフルタイムで留守番させるのではなく、可能であれば慣らし期間を設けてみてください。

テレワーク終了後も安心して留守番できる犬に育てるコツ

続いては、日々の暮らしの中で取り入れられる、留守番上手な犬に育てるためのコツをお伝えしていきます。

留守番を「嫌な時間」ではなく「安心できる時間」にする

留守番のたびに良いことがあると学習すると、犬にとって留守番はネガティブなものではなくなっていきます。

外出前におやつを与えたり、留守番用の特別なおもちゃを用意したりするのも効果的な方法です。このように、留守番=嫌な時間という結びつきを、少しずつ書き換えていくことがポイントになります。

知育玩具やコングなどを活用して退屈を減らす

コングやパズルフィーダーといった知育玩具は、留守番中の退屈対策として役立ちます。

おやつを取り出すことに集中させることで、飼い主がいない不安から意識をそらしやすくなるためです。特に留守番の始まりの時間帯に与えると、気持ちの切り替えがスムーズになりやすいでしょう。

毎日の生活リズムをできるだけ一定に保つ

食事や散歩、就寝の時間をできるだけ一定に保つことも、犬の情緒を安定させるうえで欠かせません。

生活リズムが整っていると、犬は1日の見通しを立てやすくなり、結果として留守番への不安も軽減されやすくなります。休日と平日で極端に生活パターンを変えないことも意識してみてください。

成功体験を積み重ねて少しずつ自信をつけさせる

短時間の留守番を落ち着いてこなせたという経験は、犬にとって大きな自信につながります。

いきなり難易度の高い状況に挑戦させるのではなく、できることから少しずつ積み重ねていくことが大切です。小さな成功体験の積み重ねが、結果的に長時間の留守番にも対応できる自信を育てていきます。

犬の分離不安は自然に治る?病院やドッグトレーナーへ相談すべきタイミング

最後に、自宅での対応で改善が見込めるケースと、専門家に相談したほうがよいケースの見分け方についてお伝えしていきます。

自宅で改善が期待できるケース

症状が軽度で、留守番トレーニングを始めてから少しずつ落ち着きが見られている場合は、自宅での対応を続けても問題ないケースが多いです。

吠える時間が短くなってきた、留守番前の過敏な反応が和らいできたといった変化が見られれば、今の対策を継続する方向で様子を見てみてください。

動物病院や専門家へ相談したほうがよい症状

一方で、自傷行為に近い問題行動や、体調不良が続くようなケースは注意が必要です。

長時間鳴き続けて声が枯れる、留守番のたびに嘔吐や下痢を繰り返すといった症状が見られる場合は、自己流の対応だけで解決しようとせず、動物病院やドッグトレーナーなど専門家への相談を検討してみてください。獣医師による健康チェックと合わせて、行動治療の専門家からアドバイスをもらうことで、改善のスピードが変わることもあります。

家族全員で一貫した対応を続けることが改善への近道

分離不安の改善には、家族全員が同じ方針で接することも重要なポイントです。

ある人は甘やかし、別の人は厳しく接するというように対応がバラバラだと、犬は混乱してしまい、なかなか改善が進みません。家族間で対応のルールを事前に話し合っておくと、より効果的に取り組んでいけるでしょう。

テレワークの終了は、犬にとって生活リズムが大きく変わる出来事であり、分離不安のきっかけになりやすいものです。ただし、出社前から少しずつひとり時間に慣らし、留守番環境を整えておくことで、症状を予防・軽減できる可能性は十分にあります。

すでに強い症状が出ている場合は、無理に自己流で対応を続けず、動物病院やドッグトレーナーへの相談も選択肢に入れてみてください。愛犬とのこれからの暮らしが、少しでも穏やかなものになるよう、できることから取り入れてみてください!