「うちの犬、どうして言うことを聞いてくれないんだろう……」
そんなモヤモヤを抱えている飼い主の方も多いのではないでしょうか。
呼んでも来ない、待てができない、そんな状態が続くと、しつけの方法が間違っているのかと不安になりますよね。
実は犬が指示に従わない背景には、性格の問題だけでなく、環境や体調、伝え方など複数の原因が隠れています。
この記事では、犬が言うことを聞かない主な原因と、その見分け方、そして飼い主が今日から取り組める具体的な対応について取り上げていきます。
さらに、放っておくと危険なケースや、病気が関係している可能性についても触れていきますので、愛犬との関係をより良くするヒントとしてぜひ役立ててみてください!
犬が言うことを聞かないのはなぜ?考えられる主な原因
まずは、犬が言うことを聞かなくなる代表的な原因を整理していきます。
複数の原因が重なっているケースも多いため、順番に確認してみてください。
まだ指示の意味を正しく理解していない
先ず考えられるのが、そもそも指示の意味を犬が理解できていないというケースです。
「待て」や「おすわり」といった言葉と行動が結びついていなければ、犬は何をすればよいのか分かりません。
特に子犬や、しつけを始めたばかりの犬に多く見られる状態です。
このように、理解不足が原因の場合は、根気強く繰り返し教えていくことが大切です。
飼い主の言葉やジェスチャーが毎回変わっている
また、指示の言葉やジェスチャーが毎回微妙に違うことも、原因のひとつとして挙げられます。
たとえば「おいで」と「こっち」を気分によって使い分けていると、犬は混乱してしまいます。
声のトーンやタイミングがバラバラなケースも同様です。
つまり、指示の一貫性がないことで、犬が正しく学習できていない可能性があります。
周囲の刺激が強く指示に集中できない
公園や道端など、刺激の多い環境では、犬が指示に集中できないことがあります。
他の犬やにおい、人の気配などに気を取られてしまうためです。
家の中では従えるのに外では従えない場合、この可能性が高いといえます。
このような場合は、静かな環境から練習を積み重ねていくことをオススメします。
指示に従うメリットを犬が感じていない
犬にとって、指示に従うことに「良いこと」が結びついていないケースもあります。
褒美やご褒美がなければ、犬は指示に応じる動機を持ちにくいものです。
そのため、従ったときにきちんと良いことが起きると学習させることが重要になります。
逆に、従わなくても困らない状況が続くと、指示を無視する癖がついてしまいます。
興奮・恐怖・不安で指示を聞ける状態ではない
興奮しすぎていたり、何かに怯えていたりすると、犬は指示どころではなくなります。
人間でもパニック状態のときに冷静な判断が難しいのと同じ状態です。
このようなときに無理に指示を出しても、うまく伝わりません。
まずは犬が落ち着ける状況を作ることが先決です。
運動不足やストレスによって落ち着けない
運動量が足りていない犬は、エネルギーが有り余って落ち着きがなくなりがちです。
そのため、指示に集中する余裕がなくなってしまいます。
また、日常的なストレスが蓄積している場合も、同様の状態に陥ります。
散歩や遊びの時間を見直してみることも、原因の切り分けに役立ちます。
成長期や反抗期で反応が不安定になっている
犬にも、いわゆる反抗期のような時期があるといわれています。
生後半年から1歳前後にかけて、それまで従っていた指示を急に無視するようになることがあるためです。
ホルモンバランスの変化や自我の発達が関係していると考えられています。
一時的な変化であることも多いので、焦らず見守る姿勢も大切です。
愛犬が言うことを聞かない原因を見分けるチェックポイント
原因を正しく見分けるためには、いくつかの視点からチェックしていくことがポイントです。
以下の項目を、実際の愛犬の様子と照らし合わせながら確認してみてください。
家の中と外で指示への反応が変わるか確認する
先ず注目したいのが、場所によって反応が変わるかどうかです。
家の中ではできるのに外ではできない場合、刺激による集中力の低下が疑われます。
一方、場所を問わずできない場合は、そもそも指示自体を理解できていない可能性があります。
おやつがあるときだけ言うことを聞くか確認する
おやつを持っているときだけ従う場合、犬は「おやつ」に反応しているだけかもしれません。
指示の言葉そのものに反応できているかを、おやつなしの状態でも確認してみてください。
このチェックによって、報酬への依存度合いが見えてきます。
家族やトレーナーなど特定の人には従うか確認する
特定の人にだけ従う場合は、指示の出し方や関係性に違いがある可能性があります。
声のトーンやタイミング、日頃の接し方を比較してみるとヒントが得られます。
このように、人による差を確認することで、改善すべきポイントが見えやすくなります。
興奮していない状態でも指示を無視するか確認する
落ち着いた状態でも指示を無視するかどうかは、重要な判断材料になります。
興奮時だけ聞けない場合は感情面のコントロールが課題ですが、平常時も聞けない場合は理解不足や関係性が原因と考えられます。
状況を分けて観察してみてください。
以前はできていたのに急にできなくなったか確認する
以前はスムーズにできていた指示が、急にできなくなった場合は注意が必要です。
しつけの問題というより、体調不良や痛みが関係している可能性があるためです。
変化のタイミングをメモしておくと、後の相談時に役立ちます。
年齢・生活環境・家族構成に変化がなかったか振り返る
引っ越しや家族が増えたなど、生活環境の変化も犬の行動に影響します。
また、加齢によって聴力や視力が低下している場合もあります。
このように、環境面の変化を振り返ることで、行動の変化の背景が見えてくることがあります。
犬が言うことを聞かないときに飼い主が取るべき対応
原因がある程度見えてきたら、次は具体的な対応を試していきます。
ここでは、日常生活の中で無理なく実践できる方法を取り上げていきます。
指示の言葉とルールを家族全員で統一する
先ず取り組みたいのが、指示の言葉とルールの統一です。
「待て」なのか「ステイ」なのか、家族間でバラバラだと犬は混乱してしまいます。
そのため、使う言葉やジェスチャーを家族全員であらかじめ決めておくことが大切です。
統一されたルールがあることで、犬も安心して学習を進められます。
指示は短い言葉で一度だけ伝える
指示を出すときは、短い言葉で一度だけ伝えることを意識してみてください。
何度も繰り返すと、犬は「何回か言われてから動けばいい」と学習してしまうためです。
このような癖がつくと、指示への反応がどんどん鈍くなっていきます。
シンプルな言葉を一度だけ伝え、反応を待つようにしてみましょう。
静かで集中しやすい場所から練習を始める
練習は、刺激の少ない静かな場所から始めるのがオススメです。
家の中など、犬が集中しやすい環境で成功体験を積んでいきます。
慣れてきたら、少しずつ人通りのある場所へと難易度を上げていってみてください。
段階を踏むことで、どんな環境でも指示に従えるようになっていきます。
できた瞬間におやつや遊びで褒める
指示に従えた瞬間には、すぐにおやつや遊びで褒めてあげてみてください。
タイミングが遅れると、何に対して褒められたのか犬に伝わりにくくなるためです。
即座に褒めることで、「従うと良いことがある」という結びつきが強くなります。
この積み重ねが、指示への意欲を育てていきます。
成功しやすい簡単な課題から少しずつ難しくする
いきなり難しい課題に挑戦させると、失敗が続いて自信を失わせてしまいます。
そのため、まずは確実にできる簡単な課題からスタートしてみてください。
成功体験を重ねながら、徐々に難易度を上げていくことがポイントです。
このステップを踏むことで、無理なく学習を進めていけます。
1回の練習を短くして成功した状態で終える
練習時間は、長くても5分から10分程度に留めておくことをオススメします。
長時間続けると犬も集中力が切れてしまい、逆効果になりかねません。
また、できるだけ成功した状態で練習を終えるようにしてみてください。
気持ちよく終えることで、次の練習への意欲にもつながります。
散歩や遊びを充実させてストレスを発散させる
運動不足やストレスが原因の場合は、散歩や遊びの内容を見直してみてください。
歩く距離だけでなく、においを嗅ぐ時間や自由に動ける時間も大切な要素です。
十分にエネルギーを発散できた犬は、落ち着いて指示を聞きやすくなります。
飼い主に注目する習慣を日常生活の中で育てる
日頃から、犬が飼い主に注目する習慣をつけておくことも効果的です。
名前を呼んで振り向いたら褒める、といった簡単な練習でも構いません。
このような積み重ねによって、いざというときに指示が届きやすくなります。
犬との関係を悪化させる飼い主のNG対応
良かれと思って行っている対応が、実は逆効果になっているケースも少なくありません。
ここでは、避けておきたいNG対応について取り上げていきます。
大声で怒鳴ったり力で押さえつけたりする
大声で怒鳴ったり、体を力で押さえつけたりする対応は避けてみてください。
恐怖によって一時的に行動が止まったとしても、飼い主との信頼関係は損なわれてしまいます。
結果として、指示に従うどころか、飼い主を避けるようになるケースもあります。
指示を何度も繰り返して聞き流す癖をつける
「おすわり、おすわり、おすわり」と何度も繰り返す言い方には注意が必要です。
繰り返すことで、1回目の指示を聞き流してもよいと犬が学習してしまうからです。
指示は一度伝え、反応を待つ姿勢を心がけてみてください。
失敗してから時間がたった後に叱る
問題行動から時間が経ったあとに叱っても、犬にはその意味が伝わりません。
犬は「今、何をしたか」で行動を判断しているためです。
叱るのであれば、その場ですぐに伝えることが原則になります。
犬を追いかけて無理やり従わせる
呼んでも来ない犬を追いかけ回して捕まえる対応も、避けたい行動のひとつです。
追いかけられることを「遊び」だと勘違いし、余計に逃げるようになってしまうためです。
呼び戻しの練習は、追いかけずに落ち着いて行うことをオススメします。
家族によって禁止する行動や対応を変える
ある家族はソファに乗ることを許し、別の家族は叱る、といった対応の差も混乱の元です。
犬にとって何が正しい行動なのか分からなくなってしまいます。
家族間でルールをすり合わせておくことが欠かせません。
「なめられている」と決めつけて威圧的に接する
言うことを聞かない様子を見て、「なめられている」と決めつけてしまう飼い主も見受けられます。
しかし、実際には理解不足や体調面が原因であるケースも多くあります。
決めつけによる威圧的な対応は、関係悪化につながりやすいため注意してみてください。
犬が怖がっている、疲れている状態で練習を続ける
犬が怖がっていたり疲れていたりする状態で、無理に練習を続けるのも避けてみてください。
そのような状態では、練習自体が犬にとって嫌な体験になってしまいます。
犬の様子をよく観察し、休ませるタイミングを見極めることも大切です。
急に言うことを聞かなくなったときは病気や痛みにも注意
これまでできていたことが急にできなくなった場合、しつけの問題ではなく体調面が関係していることもあります。
ここからは、注意しておきたい体の変化について取り上げていきます。
耳が聞こえにくくなり指示に気づいていない
加齢や耳の疾患によって、聴力が低下している可能性があります。
名前を呼んでも振り向かない場合は、聞こえていないだけかもしれません。
このようなときは、視覚的な合図を取り入れる工夫も役立ちます。
関節や腰の痛みで指示どおりに動けない
「おすわり」や「伏せ」ができなくなった場合、関節や腰の痛みが原因のこともあります。
動きたくても痛みで思うように体が動かせない状態です。
無理にやらせようとせず、まずは体調面を確認してみてください。
視力の低下によって周囲の状況を把握できない
視力が低下すると、飼い主のジェスチャーや周囲の状況を把握しづらくなります。
物にぶつかりやすくなった、といった様子も併せて確認してみてください。
視覚以外の合図を増やしていくことも、対応のひとつです。
認知機能の変化によって行動が変わっている
シニア期の犬では、認知機能の変化によって行動パターンが変わることがあります。
今まで従えていた指示を忘れてしまったように見えるケースもあります。
気になる変化があれば、早めに専門家へ相談してみてください。
触られるのを嫌がる場合は体の痛みを疑う
特定の部位を触ろうとすると嫌がる、うなるといった様子がある場合は要注意です。
体のどこかに痛みを抱えているサインである可能性があります。
このようなサインを見逃さないようにしてみてください。
突然の変化や異常行動がある場合は動物病院を受診する
急な性格の変化や、これまでにない異常行動が見られる場合は注意が必要です。
自己判断で様子を見続けるのではなく、早めに動物病院を受診してみてください。
早期の受診が、愛犬の負担を減らすことにもつながります。
言うことを聞かない状態が改善しないときの相談先と選び方
自宅での対応を続けても改善が見られない場合は、専門家への相談も選択肢のひとつです。
最後に、状況別の相談先と選び方について取り上げていきます。
病気や痛みが疑われる場合は動物病院へ相談する
体調面の変化が疑われる場合は、まず動物病院に相談してみてください。
行動面の変化であっても、その背景に病気が隠れていることは少なくありません。
専門的な検査によって、原因を明らかにできる可能性があります。
強い不安や攻撃行動は獣医行動診療を検討する
強い不安や攻撃行動が見られる場合は、獣医行動診療科への相談を検討してみてください。
行動学と医学の両面から、専門的なアプローチを受けられます。
一般的なしつけだけでは対応が難しいケースに適しています。
日常のしつけはドッグトレーナーやしつけ教室に相談する
基本的なしつけの見直しには、ドッグトレーナーやしつけ教室が心強い相談先です。
グループレッスンから個別指導まで、さまざまな形式があります。
愛犬の性格やペースに合わせて選んでみてください。
自宅で問題が起こる場合は訪問トレーニングを利用する
問題行動が自宅で起こりやすい場合は、訪問トレーニングの利用もオススメです。
実際の生活環境の中で、具体的な対応方法を教えてもらえます。
教室に通うことが難しい場合にも便利な選択肢です。
恐怖や体罰に頼らない指導者を選ぶ
相談先を選ぶ際は、恐怖や体罰に頼らない指導方針かどうかを確認してみてください。
陽性強化を基本とした指導は、犬にも飼い主にも負担が少ない方法です。
事前にカウンセリングや見学を行っている教室を選ぶと安心です。
噛みつきや飛び出しなど危険がある場合は早めに相談する
噛みつきや飛び出しなど、安全に関わる問題がある場合は早めの相談が欠かせません。
時間が経つほど行動が習慣化し、改善に時間がかかることもあるためです。
少しでも危険を感じたら、専門家へ早めに相談してみてください。
まとめ
犬が言うことを聞かない背景には、理解不足や環境、感情面、そして体調面まで、さまざまな原因が関係しています。
まずは家の中と外での反応の違いや、以前との変化を確認しながら、原因を丁寧に見分けていくことが大切です。
そのうえで、指示の統一や短い言葉での伝え方、成功体験を重ねる練習を取り入れてみてください。
もし急な変化が見られたり、自宅での対応だけでは改善が難しかったりする場合は、動物病院やドッグトレーナーなど専門家の力を借りることもオススメです。
焦らず一歩ずつ向き合うことで、愛犬との信頼関係はきっと深まっていきます!
