「愛犬をしつけたいのに、つい怒ってしまって自己嫌悪に陥る……」
そんな悩みを抱えている飼い主さんも多いのではないでしょうか。
犬との信頼関係を保ちながら問題行動を減らしていくには、感情的な叱り方ではなく、落ち着いた毅然とした態度で接することが欠かせません。
とはいえ、毅然とした態度と厳しさや威圧との違いが分からず、どう接すればよいか迷ってしまう方も少なくないはずです。
この記事では、犬に対して毅然とした態度を保つための考え方と、日常のさまざまな場面で使える具体的なコツをお伝えしていきます!
さらに記事の後半では、対応がうまくいかないときに考えられる原因や、家族全員でルールを統一する方法もご紹介しているので、ぜひ最後まで読んでみてください!
犬に対する「毅然とした態度」とは?厳しさや威圧との違い
犬のしつけに関する情報の中で「毅然とした態度」という言葉を目にする機会は多いものの、具体的にどのような接し方を指すのか分かりにくいと感じる方も少なくありません。
ここでは、毅然とした態度の意味と、厳しさや威圧との違いについてお伝えしていきます。
毅然とした態度とは落ち着いてルールを示すこと
毅然とした態度とは、感情を乱すことなく一貫したルールを犬に示す接し方のことです。
声を荒げたり犬を威圧したりするのではなく、変わらない声のトーンで「してよいこと」と「してはいけないこと」を伝える関わり方を指します。
例えば、要求吠えに対して毎回同じ対応を取り続けることや、飛びついてきた瞬間に表情を変えずやり過ごすことなどが、その具体例です。
感情に左右されない一貫した反応を返すことで、犬は「この行動では望む結果が得られない」と少しずつ学習していきます。
このように、毅然とした態度とは怖がらせることではなく、落ち着いた一貫性によってルールを伝える関わり方のことです。
犬を怒鳴る・怖がらせることは毅然とした態度ではない
犬を怒鳴ったり、怖がらせて行動を止めさせたりすることは、毅然とした態度とは異なります。
なぜなら、大きな声や威圧的な態度は、犬に「飼い主が怖い」という感情だけを植えつけ、行動の意味を理解させることにはつながりにくいからです。
一時的に行動が止まったように見えても、それは反省ではなく恐怖による萎縮である場合がほとんどです。
また、怖がらせる対応を繰り返すと、飼い主への信頼そのものが揺らいでしまう恐れもあります。
したがって、毅然とした態度を目指すのであれば、声の大きさや威圧感ではなく、冷静さと一貫性を意識してみてください。
優しく接することと甘やかすことの違い
優しく接することと甘やかすことは、似ているようで実は別ものです。
優しさとは、犬の気持ちに寄り添いながらも、決めたルールはきちんと守らせる関わり方を指します。
一方で甘やかしとは、そのときの犬の要求に流されて、ルールを都度曖昧にしてしまう対応のことです。
例えば、吠えたときにだけおやつを与えてしまうと、それは優しさではなく甘やかしにあたります。
つまり、ルールを一貫して守りながら愛情を注ぐことこそが、本当の意味での優しさだといえます。
飼い主が主導することと犬を支配することは別
飼い主が主導権を持つことと、犬を力で支配することは、まったく別の関わり方です。
主導するとは、犬が安心して行動を選べるように環境やルールを整え、飼い主が判断の基準を示すことを意味します。
それに対して支配とは、恐怖や力によって犬を無理やり従わせようとする関わり方です。
むしろ、犬に安心感を与えながら主導権を握るほうが、長期的には信頼関係も行動の安定も得やすくなります。
このように、主導と支配はまったく異なる関わり方だと理解しておいてみてください。
犬の前で毅然とした態度を保つための7つのコツ
ここからは、実際に犬の前で毅然とした態度を保つための具体的なコツを7つご紹介していきます。
どれも今日から取り入れられる内容なので、できそうなものから試してみてください!
犬に接する前にいったん落ち着く
先ずおすすめしたいのが、犬に接する前にいったん自分の感情を落ち着かせることです。
飼い主が動揺したりイライラしたりしていると、その空気は声のトーンや動作を通じて犬にも伝わってしまいます。
例えば、深呼吸を1つ挟むだけでも、声の高さや動きの速さが落ち着き、犬に与える印象は大きく変わります。
実際、感情が高ぶったまま声をかけると、犬はルールではなく飼い主の不安定さに反応してしまうケースが多く見られます。
このように、行動を起こす前のひと呼吸が、毅然とした態度への第一歩になります。
守らせたいルールを具体的に決めておく
次に大切なのが、犬に守らせたいルールをあらかじめ具体的に決めておくことです。
「なんとなくダメ」という曖昧な基準では、犬はもちろん飼い主自身もどう対応すべきか迷ってしまいます。
例えば、「ソファに乗ってよい時間」や「食事中にねだられても与えない」など、条件をはっきり言語化しておくと判断がぶれにくくなります。
ちなみに、ルールは多すぎても覚えきれなくなるため、優先度の高いものから3つ程度に絞ってみてください。
このように、具体的なルールを事前に決めておくことが、一貫した対応の土台になります。
短く分かりやすい言葉で指示を出す
犬に指示を出すときは、できる限り短く分かりやすい言葉を使ってみてください。
「オスワリ」「マテ」のような一語の指示のほうが、長い文章よりも犬にとって理解しやすいためです。
また、同じ行動に対して毎回違う言い方をしてしまうと、犬は言葉と行動を結びつけにくくなります。
そのため、家族の中で使う指示語を統一しておくことも、あわせて意識してみてください。
一度出した指示を何度も繰り返さない
指示を出したあと、同じ言葉を何度も繰り返すのは避けてみてください。
なぜなら、指示を連呼してしまうと、犬は「何度も言われてから動けばよい」と学習してしまうからです。
1回指示を出したら、少し待ってから行動を促し、それでも反応がなければ環境を調整するといった対応が効果的です。
このように、指示は基本的に1回にとどめ、繰り返しすぎないことを意識してみてください。
犬の要求に反射的に応じない
犬が吠えたり体をこすりつけたりしてきても、反射的にすぐ応じないようにしてみてください。
要求に対してすぐ反応してしまうと、その行動自体が「望みがかなう手段」として強化されてしまいます。
例えば、吠えている間は反応せず、静かになったタイミングで初めて声をかけるといった対応がおすすめです。
このように、要求に流されず一拍おいて対応することが、毅然とした態度の実践につながります。
望ましい行動ができた瞬間に褒める
望ましい行動が見られたときは、そのタイミングを逃さずすぐに褒めてみてください。
褒めるタイミングが行動から離れてしまうと、犬はどの行動が評価されたのか結びつけにくくなります。
声のトーンを明るくして「イイコ」と伝えたり、好きなおやつを少量与えたりする方法も効果的です。
このように、良い行動とご褒美をできるだけ近づけることが、学習のスピードを高めるポイントです。
疲れている日はしつけより環境管理を優先する
飼い主自身が疲れている日は、無理にしつけを行うより環境管理を優先することも大切です。
疲れた状態で犬に接すると、つい感情的な対応になりやすく、毅然とした態度を保ちにくくなるためです。
例えば、来客時はケージで落ち着かせる、散歩の前におもちゃで気持ちを発散させるなど、環境側で問題行動を防ぐ工夫もおすすめです。
このように、無理に向き合わず環境を調整する日があってもよいと考えてみてください。
要求吠え・飛びつき・散歩の引っ張りなど場面別の対応方法
ここからは、要求吠えや飛びつき、散歩中の引っ張りといった、日常でよくある場面ごとの対応方法をお話ししていきます。
自宅の犬に当てはまる場面から、順番にチェックしてみてください。
要求吠えには静かになったタイミングで応じる
要求吠えが始まったときは、吠えている間は反応せず、静かになった瞬間に応じるようにしてみてください。
吠えている最中に声をかけたり視線を向けたりすると、それ自体がご褒美になってしまうからです。
静かになった数秒後に「イイコ」と声をかけたり要求に応じたりすることで、望ましい行動が徐々に増えていきます。
飛びついたときは反応せず四つ足が床についたら褒める
犬が飛びついてきたときは、体を触ったり声を出したりせず、まずは反応しないようにしてみてください。
飛びついた瞬間に構ってしまうと、「飛びつけば注目してもらえる」と学習してしまいます。
そのうえで、四つ足が床についたタイミングで穏やかに褒めると、飛びつき以外の行動が定着しやすくなります。
散歩で引っ張ったときは立ち止まりリードが緩んでから進む
散歩中にリードを引っ張られたときは、無理に引き戻すのではなく、その場で立ち止まってみてください。
引っ張ったまま進んでしまうと、犬にとっては「引っ張れば前に進める」という成功体験になってしまいます。
リードが緩んで犬が落ち着いたタイミングで再び歩き出すことで、引っ張らずに歩く習慣を少しずつ身につけられます。
食事やおやつの催促には落ち着く行動を求める
食事やおやつを催促されたときは、鳴いたりねだったりしている間は与えないようにしてみてください。
そのかわり、オスワリや落ち着いて待つといった行動が見られてから与えるようにすると、催促行動そのものが減っていきます。
家族全員が同じ対応を取ることも、あわせて意識してみてください。
指示を無視したときは難易度や周囲の刺激を見直す
指示を出しても反応がないときは、叱る前に難易度や周囲の刺激を見直してみてください。
なぜなら、指示を無視しているように見えても、実際には周囲の音や匂いに気を取られ、指示自体が耳に入っていない場合が多いからです。
静かな室内で成功率を高めたうえで、少しずつ刺激のある環境へ移行していく方法がおすすめです。
ソファや物を守って唸るときは無理に取り上げない
ソファやおもちゃを守るように唸る様子が見られたときは、その場で無理に取り上げないようにしてみてください。
唸りは犬からの警告のサインであり、無視して力ずくで対処すると、唸りを飛ばしていきなり噛みつく行動につながる恐れがあります。
気になる行動が続く場合は、無理に自己流で対応せず、後述するように専門家へ相談することも検討してみてください。
毅然と接しているつもりでも犬が言うことを聞かない原因
毅然とした態度を意識しているにもかかわらず、犬が思うように言うことを聞いてくれないケースも珍しくありません。
ここでは、その背景にあると考えられる主な原因をお伝えしていきます。
指示の意味をまだ十分に理解していない
指示に反応しない原因として、そもそも犬が言葉の意味を十分に理解していないケースが挙げられます。
人間の言葉は、犬にとって最初から意味の分かるものではなく、繰り返しの学習によって初めて結びつくものです。
そのため、うまく反応が返ってこないときは、叱る前に練習量そのものが足りているかを見直してみてください。
家族や日によってルールが変わっている
家族によって対応が違ったり、日によってルールが変わったりしていると、犬は混乱してしまいます。
例えば、ある日はソファに乗せてもらえたのに、別の日は叱られるといった状況では、一貫した学習が進みにくくなります。
このような場合は、家族全員でルールをそろえ直すことが解決の近道になります。
問題行動によって犬の要求がかなっている
問題行動そのものによって、結果的に犬の要求がかなってしまっているケースも見られます。
吠えたことで構ってもらえたり、飛びついたことで注目を集められたりすると、その行動は無意識のうちに強化されていきます。
このように、飼い主が気づかないうちに問題行動へご褒美を与えてしまっていないか、振り返ってみてください。
周囲の刺激が強く飼い主に集中できない
周囲の音や人、他の犬などの刺激が強い環境では、犬が飼い主の指示に集中しにくくなります。
このような状況では、いくら毅然とした態度で接しても、犬の意識がそもそも別の方向に向いてしまっています。
まずは刺激の少ない環境で成功体験を積み、少しずつ難易度を上げていく方法がおすすめです。
不安・恐怖・運動不足など別の原因が隠れている
問題行動の背景に、不安や恐怖、運動不足といった別の原因が隠れている場合もあります。
例えば、運動量が足りていない犬は、エネルギーの発散先として吠えや破壊行動が増える傾向が見られます。
しつけの方法だけを見直すのではなく、日々の運動量や生活環境そのものにも目を向けてみてください。
痛みや体調不良によって行動が変化している
これまで問題なくできていた行動が急に難しくなった場合は、痛みや体調不良が関係している可能性も考えられます。
体に不調があると、犬は普段より落ち着きがなくなったり、指示に反応しにくくなったりすることがあるためです。
急激な変化が見られるときは、しつけの問題と決めつけず、早めに動物病院へ相談してみてください。
信頼関係を壊すNG対応と専門家へ相談したほうがよいケース
毅然とした態度を意識するあまり、かえって信頼関係を壊してしまう対応も存在します。
ここでは、避けたいNG対応と、専門家への相談を検討したほうがよいケースについてお伝えしていきます。
大声で怒鳴ったり長時間叱ったりする
大声で怒鳴ったり、長時間にわたって叱り続けたりする対応は避けてみてください。
このような対応を続けると、犬は行動の意味を理解する前に、飼い主そのものへの恐怖心だけを募らせてしまいます。
叱る際は、行動の直後に短く伝えることを意識してみてください。
叩く・蹴る・仰向けにして押さえつける
叩く、蹴る、無理に仰向けにして押さえつけるといった対応は、絶対に避けてみてください。
身体的な痛みを伴う対応は、しつけとしての効果が期待できないだけでなく、攻撃行動を誘発するリスクも高まります。
どうしても行動が改善しないと感じる場合こそ、力に頼らない方法を優先しましょう!
唸りを力でやめさせようとする
唸っている犬を、力ずくで黙らせようとする対応もおすすめできません。
唸りを無理に抑え込んでしまうと、犬は警告のサインを出せなくなり、前触れなく噛みつく危険性がかえって高まります。
唸りが見られたときは、原因となっている状況そのものを取り除くことを優先してみてください。
排泄や痛みなど犬のSOSまで無視する
粗相や落ち着きのなさといったサインを、しつけの問題として一律に無視してしまうのは避けてみてください。
そうした行動の裏には、体調不良や痛みなど、犬からのSOSが隠れている場合があるからです。
普段と違う様子が続くときは、行動面だけでなく体調面にも目を向けてみてください。
本気噛みや突然の行動変化は動物病院へ相談する
本気で噛みついてくる様子や、これまでと明らかに違う急な行動変化が見られる場合は、自己判断せず動物病院へ相談してみてください。
行動の変化は、痛みや病気など体の不調が引き金になっているケースも少なくありません。
必要に応じて、行動診療を行っている獣医師やドッグトレーナーへの相談もあわせて検討してみてください。
飼い主が犬を怖いと感じたら一人で解決しようとしない
犬に対して怖さを感じるようになった場合は、一人で抱え込まず周囲に相談してみてください。
飼い主自身が恐怖や不安を抱えたまま接し続けると、対応がさらにぶれやすくなり、犬との関係も悪化しかねません。
このようなときこそ、専門家の力を借りることをおすすめします。
家族全員で対応を統一し、犬が安心できるルールを作る方法
毅然とした態度は、飼い主一人だけが意識していても、家族の対応がばらばらでは効果が半減してしまいます。
ここでは、家族全員で対応を統一し、犬が安心できるルールを作るための方法をお伝えしていきます。
許可する行動と禁止する行動を家族で決める
先ず取り組みたいのが、許可する行動と禁止する行動を、家族全員で話し合って決めておくことです。
「お父さんはよいと言うのに、お母さんはダメと言う」といった食い違いは、犬を混乱させる大きな原因になります。
紙やメモアプリに一覧としてまとめておくと、家族間の認識合わせがしやすくなります。
指示語と褒めるタイミングを統一する
使う指示語と、褒めるタイミングについても、家族間で統一しておいてみてください。
同じ行動に対して家族ごとに違う言葉を使ってしまうと、犬は言葉と行動を結びつけにくくなります。
オスワリやマテなど基本の指示語だけでも、あらかじめリスト化しておくと安心です。
問題行動が起きたときの対応表を作る
要求吠えや飛びつきといった問題行動ごとに、対応の手順をまとめた表を作っておくのもおすすめです。
とっさの場面では、誰でも感情的な対応に流されやすくなるためです。
あらかじめ「吠えたら反応しない」「静かになったら褒める」のように手順化しておくと、家族の誰が対応してもぶれにくくなります。
子どもや高齢者にも続けられるルールにする
ルールを作る際は、子どもや高齢者など、家族全員が無理なく続けられる内容にしておいてみてください。
複雑すぎる手順は、続けるうちに徐々に守られなくなってしまう恐れがあります。
シンプルで覚えやすいルールにしておくことが、長く続けるコツです。
対応がぶれたときは犬を責めずにルールを立て直す
うっかり対応がぶれてしまったときは、犬を責めるのではなく、ルールそのものを立て直すようにしてみてください。
一度のぶれで信頼関係がすぐに崩れるわけではないため、必要以上に落ち込む必要はありません。
むしろ、ぶれに気づいた時点で家族と共有し、翌日から仕切り直す姿勢のほうが大切です。
毅然とした態度は犬に安心感を与える一貫性と理解する
毅然とした態度とは、犬を力で押さえつける関わり方ではなく、一貫した対応によって安心感を与える接し方のことです。
ルールが変わらず、対応も家族間でそろっているからこそ、犬は次に何が起こるかを予測でき、落ち着いて過ごせるようになります。
このように、毅然とした態度の本質は厳しさではなく、犬に安心を届ける一貫性にあると理解しておいてみてください。
まとめ
ここまで、犬に対して毅然とした態度を保つための考え方や具体的なコツ、場面別の対応方法についてお伝えしてきました。
毅然とした態度とは、怒鳴ったり威圧したりすることではなく、感情に左右されず一貫したルールを落ち着いて示す接し方のことです。
反応が思うように得られないときは、叱る前に指示の理解度や周囲の環境、体調面などにも目を向けてみてください。
また、力に頼る対応は信頼関係を壊すだけでなく、犬の攻撃行動を誘発するリスクもあるため、避けるべき対応として覚えておいてみてください。
最後に、家族全員でルールと対応をそろえておくことが、犬にとっての安心感につながり、結果的に問題行動の軽減にもつながっていきます。
今日からできる小さな一貫性を、ぜひ日々の暮らしの中で積み重ねていってみてください!
